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【参考にならない神戸観光】常宿に別れを告げ、さみしいふりをして結局ただ食べる一人旅
旅がはじまる。ライトな旅。
今は兵庫県の田舎でひっそり暮らしているが、2年前は神戸で働いていた。その神戸に繰り出すだけだ。とはいえ、電車で2時間ほどかかるんだし、これはまごうことなき旅だ。
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慣れ親しんだ街とはいえ、仕事人ではなく旅人だという面持ちで訪れると、違う街のように旅先めいた表情を見せてくれる。天気も良好。風にブレンドされた花粉量もまだそれなりだ。いつも家でつけている箱入りのマスクではなく、4枚入りで数百円のよそ行きマスクをつけて玄関扉を開ける。
今回の旅には目的がある。それは、「常宿に別れを告げる」ということ。悲しいことがあると身を寄せていた「神戸クアハウス」が3月末で長期の閉館となる。
チャーシューを作った後に浮かぶ冷えた白脂を湯で溶かし流すように、私は悲しみや、やるせなさをサウナでふやかし、水風呂に溶かし込んできた。さっぱりした私を飲みに快く送り出してくれ、酔って戻った私をあたたかく迎え入れてくれた。そんな私の大事な場所だったのだ。
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【1日目】
【飲み前に整う】クアハウス
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13時ごろに家を出て、電車に乗り込む。時給労働でライターをしているので、行きの電車の中でも執筆。今日明日を心おきなく過ごせるよう少しがんばっておく。
神戸に到着し、クアハウスを目指す。大通りを挟んで対岸に見えるクアハウスは、あと2週間ほどで閉館するそぶりもなく、変わらぬ姿でそこにあった。しかし、近づくと別れのメッセージの寄せ書きが張り出されていて、やはり間違いなく閉まるのだと実感する。
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入館する前からさみしい気持ちになってしまったが、受付を済ませ、早速浴場に向かう。閉館理由は老朽化によるリニューアルなのだが、確かにお世辞にもきれいとは言い難い。でも、それで良かったのだ。もちろんきれいな高規格サウナも良いが、これほどまでに落ち着きはしない。
体を清め、サウナ→水風呂→休憩のサイクルを3セット繰り返す。名残惜しくて訪れたことをクアハウスに悟られないように、特に最後だからと必要以上に味わうこともなく。
いつもどおり気持ち良いのがうれしい。おじさんや若者と並んで観たサウナのテレビでは、カイロスの爆発が報じられていた。
【はじめてのてっちり】玄品 神戸北野坂
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身を清めてから繰り出す夜の街は、格別に気持ちが良い。夜風が体をすり抜けるときに内部の悪物を一緒にこそげ取ってくれるようだ。シャープな三日月が出ている。だから、少しだけ近づきたくって歩道橋にのぼった。
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クアハウスから海側へと下り、今日の1軒目「玄品 神戸北野坂」へ。
確定申告などもあって忙しく、かなり強行で旅の予定を立てた。旅の数日前に小芝風花似の友人をディナーに誘ったのだが、快諾してくれた。しかも「とびきり楽しみな予定にしたい」と、「ふぐ」をチョイスしてくれた。果てしなく素敵だ。
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ふぐは、ほぼはじめてに等しい。リッチな食べ物だから、というのもシンプルに理由のひとつだが、もともと生魚や海鮮が得意ではないのだ。満足に食べられるようになってまだ数年しか経っておらず、がっつり海鮮を食べる機会はまだ少ない。
果たしておいしく食べられるか若干心配だったが、はじめてのことにはおのずと心躍る。
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とりあえず生ビールで夜を始める。お通しの湯引きはコリコリ。名物だという皮の唐揚げは独特のゼラチンライクな食感だった。てっさもポン酢と絡めてあっさりと食べられておいしい。箸でガガガッとブルドーザー式に何枚も掬う感じではない。しっかりした厚みがあり、1枚1枚堪能する。
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メインのてっちりは、ふぐの身がかなり大きなぶつ切りで驚く。外で鍋を食べたことが、赤からと少し良いめの豚しゃぶくらいしかなかったので、新鮮だった。たぶんほかにも食べたことあるんだろうけど、記憶からは抜け落ちている。
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予想以上の身のデカさにたじろいだが、なんの臭みもなく、しっかりおいしく食べられた。またひとつ食べられるものが増えてうれしい。次は、鱧を食べたい。
いつだって会話の内容をほとんど思い出せない。だが、そうだから心地良く居られるのだろう。
いや、ひとつ覚えている。
別の小手伸也似の友人が私と同じくらいの体型なのに私よりも13kgも軽いと偽申告してくるがどう思うかと問うた。小芝は間違いなく小手は太いし、太るのが似合わないと言っていた。
隣の席では何かしらの作業員的なおじさんと若い韓国人女性が食べている。よく見ると女性は退屈そうに眠っていた。
↓思い出した豚しゃぶ。旅に関係ないがこれもうまかった。
【ナイス夜カフェ】グリーンハウスヴァルト
基本的に、私たちは夜スイーツを食べたがる。ふぐ雑炊は腹が膨れてしまうのでパスして、2軒目に。
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グリーンハウスヴァルト。植物がたくさん配置された森めいた店内ながらメルヘン系やナチュラル系ではない。薄暗くてビターな雰囲気が大人っぽくてお気に入りだ。
グリーンハウス系列はスイーツもありつつ、酒やコーヒー、紅茶などのドリンクの種類が豊富で、2、3軒目にかなりミラクルフィットする。夜はスイーツがほとんど売り切れているのが難点だが…。
この日も案の定、めぼしいスイーツは売り切れていて、生ケーキ的なものにはありつけなかった。胡椒がかかったようなアダルティケーキと酒を飲みたかったのに(そんなケーキがここにあるかは知らん)。
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仕方なく、プラムのジャムのようなものが入ったマフィンとホットカフェラテで我慢。もちろん、我慢というには失礼なほどの代物である。
あいかわらず繰り広げられるトークは30代のおじさんのそれとはかけ離れている。加湿器やマヌカハニーやマッサージの話などをした。ちなみに私は偏頭痛がひどく、カイロプラティック的なところに行ったことがある。
おじさんに頭をむんずと掴まれて施術台に押さえ付けられ、後頭部の頭蓋骨付け根あたりに膝を押し当てて「ふんっ!」と全体重を乗せて後頭部のずれを矯正されたことがある。我がシナプスが巻き込み事故を起こさないか一抹の不安を抱いたが、その後しばらく本当に偏頭痛は落ち着いた。
佐藤二朗と役所広司のモノマネを披露して、ここで小芝とはお別れだ。楽しいひとときだった。
帰る時、ショーケースに頼めなかったモンブランが並んでいるのが目に入る。「お前、いてこますぞ」とドスの効いた声で叫ぶ親分役所ではなく、「新たに製造されたのだ。うん、きっとそうだ。落ち着け、うん」と右往左往しながら手をこねくり回す佐藤二朗の演技を真似たら心落ち着いた。
小芝と別れたが、私の小旅はまだまだ続く。腹が疼いている。別腹は満たし終えたが、実はまだ本腹を満たし終えていない。
ちなみに小芝がつかまらなければ、1軒軽く飲んだ後に、「変な家」を観たかった。映画館で観るのはよほど気になった洋画か、役所広司が出ている邦画くらいだが、偶然流れてきたこの映画の広告画像で見た高嶋政伸のビジュアルが面白すぎて非常に気になっている。面長な上に、前髪がクソ長い。ぜひチェックしてほしい。
もしくはジャズライブを楽しみながら飲み食いできる「ソネ」に行こうかと思っていた。気になる人はぜひ行ってみてくださいね。
【うますぎる和歌山ラーメン】丸高中華そば
私が丸高ときいて思い浮かべるのはサッカー元日本代表柿谷曜一朗の妻、丸高愛美ではなく、丸高中華そばである。クアハウスの目の前にあり、とてつもなくうまそうな匂いをあたりに漂わせている。素通りすることは異常なまでに難しい。
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時刻は22時ごろで、やや繁華街から離れた場所にあるものの、2、3人ほど待ちがある。どんな味だったっけ、と思い返しているとすぐに入れた。店員さんはみな元気があるというか…そう、元気がある。
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ラーメンと半チャーハン。ビジュアルが良い。ラーメンチャーハンセットは濃いのが重複するからあまり頼まないのだが、ここのチャーハンは食べときたい。見るからに濃い味のチャーハンは、たぶん、絶対頼んだ方が良い。
ラーメンもなかなかそこらでは食べられない独特の味わい。和歌山ラーメンってほんとにこんなんだったっけ?表腹も超満足だ。このラーメンチャーハンは飲んだ後ほどきっとうまい。もうちょっとまずくても良いくらいちょっとうますぎる。
私の前に並んでいた人と同じくらいに食べ終え、店を出る。店を出た瞬間、その人は明らかに風俗の予約の電話を入れていた。豪傑である。仕事が早い。
クアハウスで体を洗って、眠った。広すぎる部屋よりも狭いカプセルの方が空虚感がなくて良いと思う日もあるんだ。
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【2日目】
【至高の朝食】元町サントスのホットケーキ
6時に起きて、もう一度サウナだ。これがラストサウナになる。
浴場に向かう階段を伏目がちに上がっていく。脱衣カゴがもうかなり埋まっている。私と同様、ラストサウナを堪能している同志がたくさんいるようだ。
それでもラストサウナはあっけなく終わる。それで良いのだ。いつもどおりただただ気持ちよかった。名残惜しさからいつもよりやや多めに水を被り、体をワンランク上の清め具合に仕上げる。さぁ、さみしがってなんていないでまた新しい1日をはじめようじゃないか。
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クアハウスに礼を言い、三宮の中心部へと歩き込んでいく。これから勤めに行く人ばかりだ。くたびれたスーツに身を包んた死んだ目の人も、髪の毛をテリテリにした生きた目の人もいる。そんな雑踏に混じって私は両目を生きたホットケーキにして喫茶を目指した。
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がっつり歩いて元町へ。元町サントス。神戸に勤めていた時から行きたいと思っていたが、絶妙に行くタイミングのない店だった。よし、今日こそはと思って訪れるといつも満席だった。
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今日は張り切って、開店間も無くの時間に来た。中に入ると想定通りの渋い空間。こういう喫茶店の机や椅子は私には小さすぎることが多いが、やはり予想通りその小さすぎる机と椅子だった。でも、不思議と机や椅子とわが巨体は一体化して、むしろリラックスできる。これってどういう現象なんだろうか。
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「エッセイストのように生きる」という本を読みながら、ホットケーキの焼きあがりを待つ。待ち時間も愛おしい。気持ちバターのにおいがしている気がしたが、それは私のホットケーキのものではなく、この空間に長年継ぎ足されているかおりだった。
運ばれてきたクラシカルなホットケーキは、しあわせを具現化したもののようだ。しあわせがもし見えるのならば、きっとこんな形をしていて、ほっかほかのふっかふかに違いない。
分厚くカットされたバターをナイフで押さえ溶かし、生地にじゅわりと染み込ませる。添えられたメープルは遠慮なくすべてかける。ちょっと嬉しすぎる。嬉しすぎるぞ。
本を読みながらゆっくりいただきたいところだが、それを許してくれない。本なんて置いて、早く次を食べたい。今は別に、エッセイストのように生きたくない。諦めて先にホットケーキを堪能することにする。日々苦労したり、諦めたりして傷ついた心の小穴が塞がっていくような心地がする。
【入れなかったけど】こども本の森
多幸感に包まれて、テクテクとひたすらにあたりを散歩する。晴れ渡っているからか都会ではないように空気が澄んでいる。腹も心も満たされているから、どんな景色も尊い。
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Google mapを開いて、どこを目指そうと、ざっくりあたりのスポットを見てみる。近くに「こども本の森」という絵本を閲覧できる施設を発見する。どうやら大人だけでも入れるらしい。
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結構絵本好きだったりするので、ぜひ行ってみたいと思い、目的地をここに定める。あてなく歩くのも楽しいが、目的地を目指してハキハキ歩くのも心地良い。
途中、アウターのポッケに何気なく手を入れると、先日息子と河原で石拾いをしたときの石が出てきた。ただの小石もふと出てくるとなんだかうれしい。どうしようかと悩んだが、こいつの家はポッケの中だなと思い、仕舞い直し、今なおポッケで暮らしている。
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「こども本の森」にたどり着いたが、予約制とのことで入館できず。それでもこんな場所があることを知れたのだ。また別の機会に来たら良い。すごく立派な施設だった。
【大男ひとりで楽しむ水族館】atoa
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そして私は海の方へ歩を進める。都心部から離れるにつれ、徐々に歩いている人は減る。大通りを車がビュンビュン走るようになる。
目指すのは、水族館とアートの融合を楽しめる「atoa」だ。
ふてぶてしい見た目をしている私だが、実は動物や魚を見るのがとても好きである。人間にはそっけないが、時には街行く犬に笑顔で手を振ったりもする。水族館や動物園に行けば、マスクの下は常に笑顔である。
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平日の開館直後でもあり、人はまばらである。予想通り男1人で来ているのは私しかいない。それはいいのだが、「こんなに大きな男」も他には来ていないのである。男1人×しかも大きな男という方程式によりとりわけ稀有な存在になるので、小恥ずかしい。
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少しでも我が巨体をお披露目する時間を減らそうと事前に海辺に腰掛けてWEBチケットを購入しておいた。スムーズに入館する。
入館してしまえば「アート空間に身を置く巨大男」という逆説的アートをお披露目しているのだと自分をごまかし、開き直って、逆に穴が開くほど魚を見まくる。
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タツノオトシゴとか、目のまわりにふわふわした気泡がついた金魚とか小さくて珍しめの魚が多いのがうれしい。ペンギンのおケツのにおいを嗅ぐコーナーなども人が見ていないタイミングを見計らってすべてこなす。ただ、だれかに目撃される前に嗅ぎ追えなければと思って、急いで嗅ぐおケツは無臭だった。
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球体水槽。その周りにはラグジュアリーなチェアが2脚ずつ置いてある。カップルナイズされた空間にも怯むことなく足を踏み入れ、しばしレーザー照射される水槽と音楽に身を委ねた。
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お土産屋で色々物色して、おもわず盆栽キットみたいなものを買いそうになるが、いやいや今じゃなくて良いだろと思いとどまった。
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屋上に出て、神戸を見渡す。なんだか良い街に見える。海も見えるし、爽快だ。
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【うっかりお買い物】BAL TODAYS SPECIAL
あとはメシを食べて帰るだけである。
atoaを後にして、繁華街方面に舞い戻る。途中で神戸に来たら必ず寄るBALの中にある「TODAYS SPECIAL」へ。今日特別。ナイス名前だ。
現金が1万円札しかなかったので、これから庶民派店を巡るのに使いにくいと思って、何か小物を買って崩したいと思っていた。
しかし、うっかりオランダ銘菓「ストロープワッフル」に激似のコースターと、水族館に引っ張られて、おとぼけフェイスの魚型トングを買ってしまった。こいつたち結構高い...。まぁ楽しい無駄遣いもたまには良いものである。
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おとぼけフェイスの魚型トングはどう使うか考えあぐねている。普通に金属剥き出しなので、フライパンでガチャガチャとかはしにくい。まぁ使い勝手考えて買うより直感で買っちゃったやつの方が愛着沸いたりするもんだ。たぶんこいつは長く使う。
【昼飲み】ひょうたん
明日は何を食べようとクアハウスのカプセルに閉じこもって悶々と考えていた。ビール1杯くらいは飲みたい。でも、もうお金をたくさんつかってしまったから庶民派が良い。そして少し懐かしい店にも行きたい。
だから、神戸といえばの「ひょうたん」に決めた。
ガララと戸を開けるとまだ、空いていた。すかさず餃子2人前と生中を注文する。
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焼き上がりを待つ間、卓上のにんにくラー油をつまみに、ビールを飲む。しあわせそのものである。時折訪れるこういう瞬間のために生きているといっても過言ではない。じんわりとしあわせである。
2人前なんて食べていないに等しい。ゆっくりを意識して食べるけど、10分くらいで食べ切ってしまった。
【カツ丼】吉兵衛
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さすがに餃子だけでは終わらない。なぜかカツ丼を食べたい気持ちになっていた。
かつての私の庭と言ってもよいセンタープラザの地下に潜入する。吉兵衛。今日もリーマン風の人にも、なんの仕事してるかわからん人にも、ランニングウェアに身を纏った人にも等しくおいしそうなカツ丼を提供している。
atoaとはうってかわって、私は四六時中そこで食べていたかのようにその場に溶け込む。かわいらしい女性なども来ていたが、心なしか店員さんの私への接客の方が「そうそう君みたいなのが良いんだ」という愛着を感じる。
スピーディに提供されたカツ丼を口いっぱいに頬張る。今はなぜかこれが食べたかった。漲りたかったのだ。無心でガツガツ食べた。食べ終わる頃、童貞坊主2人組が入ってきて大盛りを頼んでいた。良いじゃないか。
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あとは本屋に寄り道したら帰るだけだ。次はもう少し西側のエリアを攻めて、古書店などを巡っても良いかなと思う。
参考にならないつもりだったが、振り返るとかなり神戸のベタを踏んでいることに気づく。あえて奇を衒わなくったって、順当に旅をしたって楽しいものだ。また気の向くまま本当に行きたい場所に出かけよう。
私の軌跡はこちらです。