水滴のすべて chapter one
1.ひかる
昨夜がんばって設営したこのテントの床というか、いやテントの場合、床じゃないなあ、なんていうんだろ、こんな時ヒカリがいてくれたらすぐに答えてくれるんだけど、僕のボキャブラリーの貧困さといったら、ここフジロックの苗場でも笑うしかないよ。
2回目のフジロックも僕は旅館には泊まらずテントを選んだ。昨日僕を車で運んでくれたあの人たちのテントがどこにあるのか、もはや僕にはわからない。やっぱりヒカリとくればよかったかなあ。けど、僕の中のゴーストが、今回もひとりで行けって囁く