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旅のみちづれは差添い

ある年の夏、南の島に姉とサンゴ礁を見に行った。
初日、姉は大はしゃぎで
マークしていた観光スポットを
時間の許す限りレンタカーで走り回った。

夜になってもまだ出かけたがったが、
姉は元々あまり体力がない。

「私は行かないよ、ひとりで行けば?」

こう言うとようやく諦めたがどうやら遅すぎたらしい。
翌朝、目が覚めたときはすでに姉は熱があった。

小さな宿だったから、宿の方も随分と心配して
度々ようすを見に部屋に来てくれた。

私はというと、
姉が暇つぶしに持って来ていた本を読みふけって
まる二日を宿で過ごした。

差添いなんて必要ないから
ひとりで観光に行くようにと姉は何度も私に言ったが
冗談じゃない。

出かけたところで姉のことが気がかりで楽しくない。
それに、本当にその本が面白くて続きが気になった。

姉は随分と申し訳なさそうだったが、
私はあれほどゆったりと過ごせた旅は他にない。

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