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『星を詠む人 ~梅雨の蟹の日~ (蟹座)6/22-7/22)』

こんな季節はなんだか憂鬱になる。

通勤中なんかは特にそう思うのだ。

シトシト雨降り、じとじとジメジメ・・・・

こうも簡単に人は環境で心が揺れ動くから不思議だ。

きっと今日が、空の果てまで見えるほどの青空だったのなら、
きっと私はそうは思うまい。

まったく梅雨ってやつは、なんて野郎だ。

だからと言って私はそんな事を口には出さない。

もし平気で口に出せるのなら、随分と生きるのが楽になるのは分かっているのだけど・・・

赤く分厚い蟹の甲羅のようなそれは、感情までも包み隠してしまうのだ。

人が殻に籠るのは生きる上で大切な事。

でもいつからかその殻を脱ぐ事が難しくなる。

分厚い殻で自分の身を守りながら、
目をぎゅっと突き出して辺りを注意深く眺める。

私だってそうだ。

でも其奴が私と違うのは、時折その両方の大きなハサミで自分の身を守るという事。

チョキチョキ・・・チョキチョキ・・・

自分自身を、自分が大切に想う人を、自慢のハサミと、その内側に隠された、普段は見せない激しい感情で。

なんともやるではないか、蟹さんは。

ふむふむ。今夜は星は見えそうにもないな。

私は分厚い空の向こうにある星を眺めてそう想う。

だけども私は星を詠む。

星を詠んで人を想うのだ。

『~大人なライオンの日~(獅子座) 7/23-8/22』

【星を詠む人】

〜あらすじ〜
星詠みという言葉がある。それは占星術とも読む事は出来て、簡単にいうと天体に存在する星々の動きから、人や社会の在り方を経験的に結びつける・・・ことだと私は思う。

これは私が色んな人と出逢いを紡ぎながら前に進む物語。
それはまるで星の繋がりのように。          
私は星を詠む。星を詠んで人を想うのだ。

               【目次】
-1- 『~梅雨の蟹の日~ (蟹座)6/22-7/22)』
-2- 『~大人なライオンの日~(獅子座) 7/23-8/22』
-3- 『~乙女な夏祭りの日~ (乙女座)8/23-9/22』
-4- 『~朝露と天秤の日~ (天秤座) 9/23-10/23』
-5- 『~真夜中と蠍の日~ (蠍座)10/24-11/22』

読み手:深文

脚本・演出;tanakan


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