記者だった私が、仲間とスタートアップを創業した理由(Waris創業の話①)
私が共同代表をしているWaris(ワリス)は、女性3人による共同創業&共同代表という珍しいタイプの会社。
「3人はどこで出会ったの?」
「そもそもどうしてこの事業を始めたの?」
よく聞かれる質問です。今日はそんな私たちの創業ストーリーについて書いてみようと思います。(懐かしい創業のころの写真をカバー写真にしてみました!真ん中が私。髪長いです・・・w)
3人とも出身大学が一緒なので、「大学時代のお友達ですか?」と聞かれることもありますが、これが全然違うんです。
同級生でも同僚でもない。ではどうして出会ったのかというと、友人が取り持ってくれたご縁。「実現したい想いを口にしていたら出会った」んですよね。出会ったのは2012年春ごろのことです。
当時、私は前職の出版社を辞めてフリーランスのライター・キャリアカウンセラーをしていました。私は前職で11年間、雑誌の記者と編集者をしていました。記者出身のスタートアップの経営者が珍しいからか、「(前職と)全然違うことしてますね」とよく言われるんですけど。それがそうでもなくて。私の場合、前職時代の経験が創業につながっています。
私が記者時代に主に担当していたのが「日経ウーマン」という働く女性向けの月刊誌。1988年に創刊された働く女性向けメディアのパイオニア的な存在で、仕事術とか手帳術、お金ネタのような実用的なものだけじゃなくて、恋愛や結婚、出産、不妊などのライフ面のネタも盛りだくさんで、毎日のように20代30代の働く女性たちを取材していました。
仕事帰りに電話で話を聞かせてもらったり、何度もメールのやりとりをしながら今の気持ちを教えてもらったり、ひとり暮らしのご自宅へ伺っての取材も少なくなくて。ひざがくっつくような距離で、キャリアや人生についての悩みや焦り、たくさん聞かせてもらいました。
そんななかで気づいたのは、女性たちがたくさんのモヤモヤやジレンマを抱えながら生きているということ。
「私このままでいいのかな?」「今の会社で仕事と子育ての両立ってできる?」「このまま結婚せずにずっと一人だったらどうしよう?」といった漠然とした不安感からはじまり、「産後に時短勤務を選んだら報酬カットで新卒並みのお給料に…限られた時間の中で成果は出しているはずなのに…」「夕方や夜間の会議が当たり前。子どもを産んだら、重要なプロジェクトを任せてもらえない…」「不妊治療をしているが、職場の理解が得にくい…」といったまさに直面している悩みまで。
こうした女性たちの悩みを解決したくして、在職中に(記者では珍しいと言われましたが)キャリアカウンセラーの資格をとったんですけど、それだけでは何も変わらなくて。私自身もモヤモヤしているなかで起きたのが「東日本大震災」でした。
震災のとき私は都内にいたので大きく罹災したわけではないのですが、それでも生まれて初めて死を意識した出来事でした。それまでは昨日も今日も明日も当たり前のように人生って続いていくような気がどこかでしていたんです。でも、そんなことぜんぜんなくって。人生は本当に一度きりだし、どの瞬間で終わるかもわからないんだと強く感じました。
だとしたら、本当に自分のやりたいことをやって生きていこう。そう思ったのが2011年のことです。記者の仕事を10年以上やってきて、そろそろ新しいことにチャレンジしたい、という気持ちもありました。
メディアの仕事ってすごく楽しいしやりがいもあるんですけど、あくまでメディア(媒介物)なので、課題解決そのものが仕事ではない。10年以上、媒介物として「伝える」ことをやってきて、次の10年、20年は課題の解決そのものを仕事にしたいと思うようになりました。
それで会社を辞めて、自分に何ができるのかを模索するためフリーランスのライター・キャリアカウンセラーになりました。「女性が生き生きと働き続けるためのサポートがしたい」という想いはあったんですけど、具体的な道筋が見えているわけではなくて。すごく不安でした。宙ぶらりんな感じで。でも当時はSNSでも会う人にでもひたすらその話をしていました。自分の想いについて語っているときは漠然とした不安感から逃れられる気がして。
そんななか、「同じようなことを言っている人がいるから紹介してあげる」と言われて出会ったのが、Warisでいま一緒に共同代表をしている米倉であり、河でした。2人とはまったく別の友人からの紹介でそれぞれ出会って、働く女性向けの勉強会やワークショップをそれぞれ企画することになって仲良くなっていきました。
最初にビジネスの話をしたのは河とでした。
「女性たちは(自分たちも含めて)不安や焦りやジレンマを抱えながら生きている」
↓
「それってなぜ?」「何か私たちにできることはないか?」
こんな問いを繰り返しながら、最初に思いついたのが「働く女性向けコワーキングスペース事業」でした。
女性たちが忙しい日々の中で自分を見つめ直したり、有機的につながったりする「場」が必要なのではないか…と当時の私たちは考えたのです。
実際に物件探しまでしていました。(まだ、この女性×場のビジネスもあきらめたわけではなく、構想の中には常にあります!)
ただ、議論を深めるなかで生まれてきたのが「女性たちが課題を感じているのは本当に『場』なのか?」という想いです。そうじゃなくて、もっと本質的な部分でジレンマを感じているのではないか…
そこで私たちが行きついたのが「働く」というテーマでした。私たちが議論していた2012年当時は「働き方改革」という言葉が生まれるずっと前。
長時間労働が常態化していて、総合職と呼ばれる企業の基幹的業務では
働く時間と場所の固定化が起きていました。
短時間勤務制度は職場に導入されていたものの、女性が育児を理由に短時間勤務を選ぶと「責任のある業務を任せてもらえない」「成果を上げても(短時間勤務を理由に)適切な評価が得にくい」「(逆に)とても短時間では終えられない過重な業務を与えられる」などのジレンマを抱えながら働く女性が数多くいました。
「働く時間と場所の固定化」
これこそが女性たちが生き生き働き続けられない最大の問題ではないか。私たちはこのように考えました。「日本で、もっと自由で、時間・場所にとらわれない働き方をつくっていきたい。そうすればもっと自分らしく楽しく生きられる人が増えるのではないか」。
そこで考えたのが、今のWarisのコア事業であるフリーランス女性と企業とのマッチング事業でした。当時、私もフリーランスとして働いていましたが、
米倉も人事や広報のフリーランスとして働いていました。
「実際にフリーランスとして働いている女性の声を聞いてみよう」。そう河と一緒に米倉を訪ねたのが3人でこの事業について話した最初でした。
ここで米倉から飛び出したのが、「私も同じこと考えてたの!」という言葉。子どもを抱えながらフリーランスとして働いていた米倉も、専門性を活かして時間・場所にとらわれず働けるフリーランスという働き方を一人でも多くの女性に伝えたいと考えていたというのです。
「じゃあ、一緒にやりましょうよ!」
というわけで動き出したのがこのWarisプロジェクトでした。当時はまだWarisという名前もありませんでしたが…
少し長くなっちゃいました。社名の由来も含めて、実際にWarisという会社をスタートする話はまた別の機会に書こうと思います。
最後に、今、私たちの会社では、営業・ウェブマーケティング・経理などのポジションで仲間を募集中です。「早く行きたいなら一人で行け。遠くへ行きたいならみんなで行け」ということわざのとおり、遠くて大きな目標を達成することは仲間と一緒だからこそできること。「日本の働き方を変える」という大きな目標へ向かってともに歩んでくれる仲間を探しています。こちらの記事を読んで少しでも私たちに興味を持ってくれた方がいたら、私たちの採用ページのほうも見てくれたらうれしいです。