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#BeatSaber 物理学概論体力編
ジョーク記事です。
フライホイールをご存じだろうか。車のエンジンはピストン運動しており、力は断続的に発生しており、もしそのままタイヤに動力を伝えていれば燃焼一回ごとに強い衝撃を伴って車が前進することになる。タイヤとの経路に重たい円盤を置くことで、燃焼時の爆発的な力は円盤を回すために使われ、急激に加速しなくなる。そして円盤が回っているおかげで、燃焼タイミング以外の時の加速が0になったりを防ぐことができる。円盤に運動エネルギーが蓄えられ、それを消費しながらタイヤが回る。この円盤のことをフライホイールといい、力学的にエネルギーを蓄える装置として車以外にも回転運動を安定させるためによく用いられている。
さて、スイング時に肩から先の部分で定在波を形成していると想像しよう。腕の振動は、腕の外に力を作用させなければ、止まることなく振動し続ける。実際は様々な抵抗があるため、その抵抗によって失われる運動エネルギーと同量のエネルギーを筋力で与えることで、止まることなく振動し続けることになる。その振動を止めるためには、動かすために消費した外部のエネルギー(筋力によって与えられた運動エネルギー)と同量のエネルギーが必要となる。つまり、ストリーム中はわずかなエネルギーを注ぐだけで腕を動かすことができるが、ストリームの間に休止があり、そのたびに腕を完全停止させるようなことをしていると膨大なエネルギーを消費することになる。
運動エネルギーは、質量と速度の関数として与えられる。簡単のため、ロスを0として、肩より先の運動エネルギーKが不変であるとし、肩から手首まで、の質量をM,速度をV、手首から先の質量をm,速度をvとすると、
K=MV^2/2+mv^2/2 …①
とあらわせる。実際は関節を中心とした円運動に近い動きの往復なので、角速度からエネルギーを表すべきであるが本質的な問題はない。セイバーの速度がvに依存することを想像すると、vを変化させることでストリーム中の休止や再始動につながることがわかる。Kが一定なのでVを変えればvが変わる。言い換えると、手と腕で運動エネルギーをやり取りすれば、肩より先の運動エネルギーを変化させずに(余計な力を加えずに)セイバーを動かしたり止めたりすることができる。腕がフライホイールの役割を果たすことになるのだ。手から腕に運動エネルギーを移す具体的な方法は、手首を一瞬固定し手の反動を腕に伝える。それだけである。
ところで、M=10mとして①を変形すると、
V^2=(2K/m-v^2)/10 …②
が得られる。m<<Kの時、v^2の項は寄与しなくなる。言い換えると、手首の速度vがどんなに早かろうが、その運動エネルギーを腕に移したとき腕の速度はほとんど変わらない。速度が変わらないということは、様々な腕の運動への抵抗も変化せず、フライホイールとして優秀な性能を発揮することになる。手とコントローラーを軽くしよう。おわり。