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自分にとって簡単なことが他者にとっても簡単なこととは限らない。

他人が得意としていること、他人が楽々できてしまうことを見て、「凄いなぁ」と関心したり、憧れたり、あるいは、自己嫌悪に陥ったりすることがある。

そういう他人に「え、これ、簡単だよ、やってみなよ、きっとすぐできるようになるよ」と言われると、「あなたが得意だからって、私も簡単にできるようになるわけじゃないよ」と思う。

逆はどうか。

「自分にとって簡単なこと」は、他者にとっても簡単なこと、と思いやすい。

こういうセリフをよく聴く

「私、ふつうのことしかしてないよ」
「私にだってできるんだから、誰だってできるよ」
「俺がやっていることって本当にごくごく基本的なことだよ」
「中学生の時習ったことだけでやっているだけだから、誰だって本来ならできるはずなんだよ」

最後の「中学の時習った」というのは、まあ、そうかも知れない。
しかし、勉強だってその記憶だって人によって全然違う。
興味関心も全く違う。

だから、「私にできる」からって「他人もできる」とは限らないのだ。
「他人ができる」からって「私もできる」とは限らないのと同じである。

やっかいなのは、経営者とかマネジメント層にいるような人たちが「俺・私がやってきたこと」を従業員や部下が「やらない、やれない」ことに対して、想像がなかなかできないことだろう。

それがどれほど基本的なことだろうが、それができたからこそ、あなたは、経営者だったり、マネージャだったりするのであって、誰もがあなたと同じようにできるわけじゃあないのである。

もちろん、それは、優劣とか巧拙ということじゃなくて、得手不得手、関心無関心といった範囲であることも多い。

だから、従業員とか部下にとって、得意とか普通に難なくできてしまうこともある。

得意不得意、好き嫌い、関心無関心の凸凹のうまい組み合わせができた時、組織は、とてもうまく動くのだろうか。

私は、数字が極端に弱くて、今だに、繰り下がりの計算は、隣から「10」を借りてこないと暗算できない。だから、認知症テストの「100から7をどんどん引いていってください」は、既に苦手なので、将来、どうしよう、と今から心配である。


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