たゆたう人
どうにもこうにも好きだ。今夜もまた、好きだと思う人とすごせて楽しかった。以前から好ましい人だなぁと思っていた人がいるのだが、こんなに話したのは初めて。
人の感情は読めるし、怖い人かどうか気づく。でも、ときどき信用していい人かどうか見誤る。「好き」という感情が目を曇らせ、いい方へと曲解してしまうから。
これまで何度もすれ違ってその態度や振る舞いが、とても好みだった。ちゃらんぽらんのように見えて、実は適当に動いて好き勝手しているわけではない。場全体を眺め、個々の動きを見ている。こちら側だけでなく、身内側の様子も把握していて、場の中をたゆたうようにあちらこちらと移動し、声をかける。
見誤ってはない気がするけど、本当に好ましい人かどうか、判断しかねる。
その人は「たゆたう」という言葉が似合う。ふらりと現れ、ふらりと消える。ふらりふらりと席から席へ移動。気づくとスタッフのもとを訪れ、談笑している。
ここは公務員が営むスナック。いや、営んでるのは民間人で、現スタッフの8割を公務員が占めるスナック、の方が正確。フード担当だけ会社員で、給仕とおしゃべり担当、ビール担当、カクテル担当、お休み中のカレー担当と闇担当、そしてたゆたう人は公務員。
役所外で気楽に市民と交流したいと公務員が始めたスナックは、もう2年くらい続いている。その中で、私が好ましいと思っている人はいたりいなかったり。毎回会えるわけではない。訪れたときにいたのは、これまでで半分くらいだろうか。
今夜、初めてちゃんと話した。
人の間をたゆたうように、その人自身の存在もゆらゆらと揺らめいている。くっきりはっきりとした輪郭がない。どうやら話を聞いていたら、わざとそういう振る舞い、そういうポジッションでいるらしい。
ゆるゆると語っているけれど、話の中身はかなりしっかりとした形を持っている。公務員だからこそできること、やりたいことのために公務員であること。公務員だけじゃないこと、公務員以外にも言えること。隣の席の事業を起こしたいと考えてる人に、伝わってるといいなぁ。
これまで会ったときの様子から、けっこう考えてる人という印象だったが、その判断に間違いはなかった。そうとう頭を使ってる。でも頭だけじゃだめだともわかってる。2番目以降のポジッションで1番目の邪魔をしないように、でも1番目に足りてないものを注入しようと行動する。それも計算のうち。
たゆたうように泳ぎながら目指していることを、次は飲みながら聞きたいなぁ。軽く酔いながら、ゆらりゆらりと話がしたい。きっと頭に入らないけれど、それは別にいいの。私はその人について知りたいから。「なんで?」と子どものように質問攻めにしたい。
たぶん酔っ払ってたら許されると思うから、飲みながら話したい。今度は金曜に会いたいな。会えるといいな。
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