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野良猫の生き様

(2017年3月23日)

久しぶりに野良猫かーさんが来た。
私は野良猫が好きだ。好きというか、あんな風に生きたいと思っている。
 
野良猫は生きるのが大変だ。食べるもの、寝る場所、暑さ寒さ、他の猫、人間に邪魔されない安心出来る居場所。飼い猫と違い、必要なものは独力で手に入れるしかない。
エサがもらえなかったのか、バッタやセミを食べ、消化不良で吐き出してある。雑草の茂みで、子猫とともに身を寄せ合い寒さをしのいでいる。メス猫か縄張りか、譲れないもののために戦い、血を流し、傷で腫れ上がった足を引きずっている。
 
食べられず、治療を受けられず、病に罹り、痩せ細り、力を失って縄張りを追われ、人知れず死んでゆく。
それでも、野良猫は死ぬまで生きる。ただひたすら、命が尽きるまで、その瞬間まで生きるために生きる。
その姿が好きだ。
 
かわいそうだし、愛おしいし、でも全ての野良猫を家に入れ、飼うことは出来ない。助けたいけれど、助けられない。出来るのは、エサと水を置き、段ボールを置くことくらい。
そうして家の周囲にいた野良猫一族10匹以上を見てきた。去勢・避妊手術は施したが、怪我をしても病院へは連れて行かない。
 
雪の中に落ちていた、車にはねられた子猫。いつの間にか縄張りを移動し、姿を消した猫。甘えて甘えて、かわいがって、でも年を取り、ある日来なくなった猫。ガリガリに痩せて、それでもエサを食べに来て、力つきガレージで冷たくなっていた猫。雪囲いの中に置いた、ホッカイロを入れたフリースケットの中で眠るように死んでいた猫。大雪の冬、一日、二日、三日、待っても姿を現さなかった、寒さを乗り越えられなかった猫。
 
生きる意味なんてない。ただ生きるだけ。何のために生きるのか、生きる意味を人間は求めるけど、生きること自体に意味があると、野良猫の生き様を見ていると思う。人間の生も、野良猫の生も、価値も意味も重さも同じ。
 
野良猫かーさんは、痩せて毛が荒れ、何匹も死にいく姿を見てきた経験から、長くはないことが見てとれる。もう2週間近く姿を現さず、死んだと思っていた。
さらに痩せ、力なく歩く。それでもエサをやれば食べる。
頑張れ、助かれ。もっと食べて元気になれ。とにかく生きろ。
明日、また会えるだろうか。またエサをやりたいよ。待ってるよ。

  

  

ネコ4匹のQOL向上に使用しますので、よろしくお願いしまーす