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タイ旅行2024⑤ | 黒いガネーシャ、ホテルで最初に感じたこと

④のつづき

黒いガネーシャ像

ピンク・ガネーシャに一方的な願いをぶつけた私たち、つづいて黒いガネーシャの待つクローン・クアンガネーシャ公園へ。

ワット・サマーン・ラッタナーラームから車で20分。ドライバーのチャンさんの走りは好調だ。たびたびGoogle Mapの指示を華麗にスルーしているが、きっと地元の方だけが知っている秘密のルートがあるのだ(とこの時点では信じていた)。

さえぎるもののない直射日光、日焼け止め必須。

デカい。思いのほかデカい。
しかもフルパワーで西陽が差していて、神々しさに拍車がかかっている。農作物の豊作祈願ということで4本の手にはそれぞれバナナ、ジャックフルーツ、マンゴー、サトウキビが握られている。今よりちょうど30kg太っていた頃の私のおやつタイムを思い起こさせる姿だ(この話はいつか別で書きたい)。

ちなみに黒いガネーシャが豊作祈願の神と知らなかった私は、全身全霊で「競合他社の優秀な営業マン2名が年明けに揃って退職し、とある案件の大きなチャンスが転がり込んできますように」という、けっこう具体的な願いをささげていた。年末の旅行中も仕事が頭から離れず、しかもゴリゴリの他力本願。哀れである。

タクシードライバーの悲哀

2体のガネーシャ像に熱い思いを伝えた私たちは、大満足でバンコク市内へ戻る。
チャンさんの走りは好調...ではないようだ。

同じような景色の道をぐるぐると回っている。
流しのタクシーをつかまえ、無駄に遠回りをされるのは旅行あるあるだが、今回はチャーター、どれだけ走っても料金は変わらない。
純粋に迷っているのだ。

それでもチャンさんはGoogle Mapの案内には頑なに従わない。もしかしたら、以前Google Mapを盲信して崖下に転落、愛しい家族を亡くした復讐としてGoogle Mapの案内を無視しつづけているのかもしれない。もしそうだとしたら、日本から呑気に観光にきた私たちが出来ることは、ただその復讐をじっと見守ることだけだ。

クローン・クアンガネーシャ公園を出て2時間半。ようやくホテルのあるスクンビットに戻ってきた。私たちを見送るチャンさんの笑顔には、今日も小さな復讐を遂げた男の悲哀と優しさが満ちていた。

次に会えることがあったら、ナビ購入を提案したい。

ホテルにチェックイン

2泊目、3泊目でお世話になるのはシェラトン・グランデ・スクンビット・ラグジュアリーコレクションホテル。様々なメディアで取り上げられる5つ星。
こういった高級ホテルに格安で泊まることが出来るのも、東南アジア旅の楽しみの一つである(それでも5年前のタイ旅行時と比べると1.5倍ほどの価格。ああ円が安い)。

アソーク駅直結。ターミナル21まで徒歩3分。
ホテル自慢の浴室。
アメニティはBYREDOで統一。どれもこれもいい香り。

外装も内装もサービスも一流なら、居合わせる宿泊客もエグゼクティブばかり。バリっとした仕立てのいいスーツや美しいドレスに身を包み、なんだか皆いい匂いがする。私のような田舎の小市民は、「へへ...どうもすいやせん...」といった風情で平身低頭、薄い笑いを浮かべて恐縮しきり、エレベーターでは開閉ボタン担当として右サイドに張り付くばかり。

ただ、それでいいと思っている。
どんなチャンスに恵まれて、どんな生活を送ろうとも、誰よりも謙虚な人間でいたい。どんなに知識や経験を積み重ねても、前向きな向上心を忘れない永遠のルーキーでいたい。エレベーターの開閉ボタン操作一つをとっても、きっと私はこの旅で成長できたはずだ。心なしか降りていく人たちの後ろ姿にも、以前よりリラックスした空気が感じられるもの。ふとバンコクのホテルでそんな風に感じた、2024年の冬の思い出。

なにを書いているか分からなくなってきたので、⑥へつづく。

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