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第一回邦キチー1グランプリ「無限ファンデーション」
題材は「無限ファンデーション」です。アマプラ等で配信しているので、ぜひ御覧ください。
部長「上映前の予告編、3本連続で主演が泣き叫んでいて胃もたれしてしまった……邦キチのせいで邦画のメインストリームに触れられていないが、最近の邦画ってあんなに演技がうるさいのか……?」
邦キチ「部長は静かな演技がお好みなのですか?」
部長「邦キチ!?」
邦キチ「そんな部長にオススメなのは、大崎章監督、南沙良主演の"無限ファンデーション"!10代の少年少女の即興劇で構成される本作は、リアルな感情演技が見どころなのです!」
部長「挑戦的で面白そうじゃないか、でも……即興劇って静かな演技になるものなのか?みんなが思い通りに演じたらどんどん収集つかなくなるんじゃないか?」
邦キチ「それがですね!終盤、引っ込み思案な主人公の女の子が感情を爆発させるシーンがあるのですが! 全員がちょっと距離をとって"あ~あ"という雰囲気を醸し出してなるべく関わらないようにするのです!」
部長「クライマックスなのに!?」
邦キチ「おそらく、目立つ行動や発言をすると、このシーンをうまく収める責任が生じるから、各々動くに動けないのでしょう……」
部長「嫌な緊張感だな……」
邦キチ「それを象徴するのが、女の子同士のつかみ合いの喧嘩になりそうなところで、二人にぬっと割って入るその場唯一の男子生徒!
やめろとも言わず、その間終始無言!結局二人を制止することはできず、主人公の女の子はつきとばされるのですが!
それを所在なくぬぼーっと無言で見下ろす!まさに負の緊張感が生み出した静かな演技!……即興劇である本作を象徴するシーンでした!」
部長「負って言っちゃったよ!……しかし、即興劇の映画は未見だから、少し興味が出てきたのが悔しいな。しかし、こういうひねった映画、あいつが好きそうだな」
池ちゃん「それが……オレ、あんまハマれなかったんだよね、これ……」
部長・邦キチ「池ちゃん!(でありまする~)」
池ちゃん「確かに即興劇ならではの生々しい空気感みたいなのは感じたけど、それって即興劇で行くって決めた時点で担保されてるものじゃないか?って……」
部長「つまり池ちゃんは"即興"っていわれても、作り手の作為みたいなのを感じてハマれなかったってことか?」
邦キチ「さすが部長。池ちゃんのことをよく知ってらっしゃる」
部長「オレもなんかちょっと"ズルい"な~とは思ったんだ」
池ちゃん「そう!大人のズルさ!したたかさみたいなのがあるよな!ヨーイチ!」
邦キチ「大人はズルくないのですよ。本作は、主人公の女の子と、リサイクル施設でウクレレを弾く謎の少女小雨との交流が一つの軸になっているのですが」
部長「リサイクル施設でウクレレを弾く謎の少女って何?」
邦キチ「ウクレレを弾く謎の少女の秘密を、ほぼ、その少女と、部活の顧問の先生(妙齢)の独白で解き明かすのです!!」
部長「お前さっき10代の少年少女って言ってただろ、なんで顧問の先生(妙齢)が出てくるんだよ」
邦キチ「10代の少年少女が物語を壊さないよう、なるべく本筋に関わらないようにするのに対し、顧問の先生はがっぷりよっつで物語に取り組みます!!たとえ何度も言い淀んでも、目が泳いでも、物語を着地させようとちょっとずつ言葉を紡いでいく姿に、私は大人の真摯さ、リアリティを見たのです」
池ちゃん「そうか……そう言われると"いくらリアリティを出すためでも、おんなじこと言いすぎだろとか、冗長すぎるだろ"と、ノリきれなかった顧問の演技に、大人の責任感、誠実さみたいなのを感じてくるな……!」
部長「似たようなことを繰り返す冗長なブログを書いてるやつに言われたくないだろうな」
池ちゃん、目をうるませながら、ぬっと部長の前に立ちふさがり、なんとも言えない表情で唇を震わせる。
部長「こわ!もっとわかりやすいリアクションをしてくれよ!意外とタッパのある男が何考えてるかわからないふるまいをすると怖いんだよ!」
邦キチ「おや、部長は静かで複雑な演技がお好きなのでは?」
部長「わかりやすさも、時には大事なのかもな……」
池ちゃんが舌を出してウインクしている姿で〆。
要望 顧問の先生のあの雰囲気が大好きなので、ぜひ描いてほしいです。
無限ファンデーション 予告編