自分に矢印を向ける覚悟を持て|書評:『マーケティングとは「組織革命」である』
表題の元USJのCMO、現株式会社刀CEOの森岡毅さんの著書を読んで、ぜひ読んでほしいという人が思い浮かんだので書評的にまとめます。
「この本のポイントはもっとここだと思うんだよな」的なご意見いただけたら、非常に嬉しいです。ぜひいろんなご意見をください!
目次:
・この本を読んで欲しい人
・なぜ読んで欲しいか
・この本の概要・ポイント
1. 先人を超えることこそが次世代の使命
2. 人間が悪いのではなく「人間の本質」を野放しにしている組織の仕組みが悪い
3. 決定権限のある人の目的次第で判断が為される
4. プロとして成功するために真っ先に必要なのは、自分に矢印を向ける覚悟
5. 魅力は高く、実現可能性も高く、コストは低く
まとめ
この本を読んで欲しい人
『マーケティングとは「組織革命」である。』を読んでいて、実際にいま自分の状態や自分の組織に当てはまることが多く、いろんな人の顔が頭に浮かびましたが、ラベルをつけるとこんな人たち。
これ自分っぽいな…と思った人はぜひご一読ください!
なにか変えられるキッカケになると思います。
【読んで欲しい人】
・組織を変革したい人
・部下が変わらないと嘆いている人
・上司や経営陣がダメだから…と諦めている人
・自分はちゃんと仕事しているのに周りのせいで成果がでないと思っている人
なぜ読んで欲しいか
読んで欲しい理由は一言でいえば「もったいない」からです。
なぜなら、理由は下記の2点。
・他人は勝手には変わらない
・他人のせいにしている事があなたの程度を下げてしまっている
他人にばかりフォーカスしていてもストレスしか溜まらないし、他人よりも圧倒的に自分の行動を変える方が楽なんですよね。
もし成長したい、もっとキャリアを伸ばしていきたいという気持ちがあるなら、他人のせいにしている暇なんてないはずです。
かなり自戒も込めています。汗
この本の概要・ポイント
概要:著者がUSJに入社しマーケティング部長という中間管理職の立場から、組織をより良くするために行ってきた改革の実体験を元に書かれた「下から組織を変えていくメソッド」がまとまった本。
【ポイント】
1. 先人を超えることこそが次世代の使命
2. 人間が悪いのではなく「人間の本質」を野放しにしている組織の仕組みが悪い
3. 決定権限のある人の目的次第で判断が為される
4. プロとして成功するために真っ先に必要なのは、自分に矢印を向ける覚悟
5. 魅力は高く、実現可能性も高く、コストは低く
1.先人を超えることこそが次世代の使命
組織のコミュニケーションが不全に陥る「3つの呪い」として、下記が挙げられています。
1. 「年齢差」による呪い
2. 「役割差」による呪い
3. 「性別差」による呪い
このうちの「年齢差」による呪いの説明のなかで出てきた一文が「先人を超えることこそが次世代の使命」です。
無意識のうちに「自分が上司を超えられることはない」「自分が昇格するなら上司も昇格する」とエスカレーターのように考えてしまっていたことに気付かされた文です。
この考えが、知らずのうちに全て上司がなんとかするものだという意識を産み、自分が問題の当事者になることを避けてしまっているのだと思います。
問題に気づいている人しか問題は解決できないことを肝に銘じなければいけない。
超えることこそが義務だと思えば、まだまだできることはあるハズです。
2.人間が悪いのではなく「人間の本質」を野放しにしている組織の仕組みが悪い
「人間の本質」というのは「自己保存」という本能のことを指しています。
自己保存とは、変化することで死んでしまうかもしれないという動物的本能に準じて、変化を拒むことです。
個のメリットと組織のメリットが一致するようにできていない、コミュニケーションをすると個人が損をする、このような状況では自己保存の本能が働き、意思決定のできない人を作り上げてしまっているのだそうです。
マーケターであれば、売れる仕組みをつくる=ユーザーに自然と行動させることを社内に置き換えただけだと気づくと思います。
身近な社内を動かせないマーケターが、市場を動かすことができるかを自身に問う一文です。
また、人間の意識を変えようとするとかなりのパワーが必要かつストレスがかかりますが、仕組み作りは自分でコントロールしながら変えられます。
相手の行動を責めるのではなく、なぜその行動をしてしまうのか環境に目をやることがマーケターとしての成長に繋がっていくと感じました。
3.決定権限のある人の目的次第で判断される
なにかを提案する際に「正しいはずなのに受け入れられない…」という経験をすることは少なくありません。
これはなぜかと言うと、ジャッジする人にも先述の「自己保存」が働いているからだと述べられています。
特に重要なポイントとしては、「自分の目からは重要と思える提案も、実はあなたが勝手に良いと判断しているだけ」ということです。
現場の一部しか見えていないメンバーと、現場全体を見ている上司、経営を見ているさらに上司、それぞれが自分の立場で話をしたら一切話にならないのは明らか。
自分だけの感情や感覚での提案は話にならないのは当然ですが、正論だけでも通じないことは自分では気づけない人も多いでしょう。
改めて、視座をあげなければならないことと相手目線で考えなければならないことを強く感じるポイントでした。
4.プロとして成功するために真っ先に必要なのは、自分に矢印を向ける覚悟
提案を通すのが苦手な人は自分視点でしか物事を見ていない、と本書では述べられています。
自分自身の最近の言動・行動を振り返っても耳が痛いのですが、感覚ではだいぶ多くの人が「自分に矢印を向ける覚悟」が足りないと感じています。
例えば、「自分が不安なのわかってよ」「未経験で入ったのに教育の仕組みないの??」という部下は、上司や会社に責任があるのですが、プロであるならば自分で不安を解消しに動くべきですよね。
キャリアを上げていきたいなら尚更です。教えてくれないとできません、という人よりも、自分で考え学んでいく姿勢を持った人が成功していくハズ。
自分に課題があると考えて行動しなければ、と改めて考えさせてくれる一文です。
5.魅力は高く、実現可能性も高く、コストは低く
これは、提案をする際に押さえるポイントとして紹介されているのですが、本書にも書いてあるのですがごく当たり前のことです。
しかし視点が自分だけに向いていると、どれかが欠けていることがあるのではないかなと思っています。
実現可能性から先に考えると選択肢が狭まるのでNGですが、フィードバックの多くは肌感では現実的かの観点でもらうことが多いので、提案を通す際にはかなり重要だと感じています。
また、魅力も「自分にとっての魅力」ではなく「相手にとっての魅力」で伝えなければならないのも、勢いで提案してしまう人は忘れてはいけない観点です。
当たり前だからこそ、常に意識して押さえなければと思ったポイントです。
まとめ
紹介したポイント以外にも、評価や報酬の設計や人のスタイルにあわせた伝え方など、かなり参考になることが記載されています。
また、成功者と呼ばれる秋元康氏や佐藤可士和氏との対談も学びが多い本となっています。
私が挙げたポイントはまとめると2点に収まります。
1つは、変えられるものに力を注ぐべきということ。
もう1つは、相手の視点で考える、ということ。
これはビジネスマンとしてのポータブルスキルなので、必ず身につけるべきだと思っています。
本書を読み、森岡さんは多大な挑戦からの経験やマーケティングスキルがあることは確かなのですが、ビジネスマンとして当たり前のことを突き詰めていったことが結果につながったのだと感じました。
つまり、いまからでも誰でもできることでもあるハズなんです。
覚悟をもって突き詰めていこう、そう改めて思わせてくれる良書でした。
明日も頑張ろう。