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【書評】養老孟司『唯脳論』

要約にやさしい本だ。章ごとに引く。
「自然を読み切れるはずがない」
「万物は流転する。人類普遍の原則に不服なら、自分の一生だけでも大過なくすごせ」
「脳は変わらない。ヒトが生れて、このかたすこしも」
「信じることはやめられない」
「脳の機能は予測と統御。秩序立てるクセがある。対して身体は自然。だからせめぎ合う」
「大学が役に立つことをする場所になったらおわり」

理系志向が筆を持つと、こうした箴言が束になる。他の著作からも引く。

「人間の作ったものは信用するな」
「いまの社会は、外界の自然も、人間が本来もっている自然さえも、人間の意識が覆ってしまった世の中だ」
「ああしてもこうならない」
「意識ほどあてにならないものはない」
「人間は理性的ではない。だから宗教が存在する」
「宗教を信じるなら、なるべく古いものにしたほうがいい」
「戦争をしたいのなら、テレビゲームの中でやれ」
「頭で考えてばかりいると、ひどい病気になりますよ」
「自然はすでに解を与えている」
 
そんな解剖は自身にも及ぶ。

「日本人は偽善的」
「日本社会は我慢大会だ」
「箸と漢字が日本人の頭を鍛えている」
「日本のエリートは、まっさきに逃げる」
「日本人は本気じゃない」

そして最後に。

「あなただって自然でしょう」

養老孟司『唯脳論』


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