相手は何を望んでる?
よい組織を作ってる経営者、革新的な商品を世に出した経営者。
彼らは必ずと言っていいほど、人の「脳科学」と「心理学」を理解しています。もしくは、その分野に精通している人を近くに置いています。
なぜなら、リーダーシップ・マーケティング・営業・人材育成など、ビジネスで問題が起きる分野は多岐にわたりますが、それぞれの問題に関係するのは必ず人だからです。
つまり、ビジネスがうまくいくかどうかは『人の心をどこまで理解できるかどうかにかかっている』という視点を持っているんです。
なので、人は基本的にどんな欲求を抱えているのかを知っておいたほうがいいよねって話が、昨日公開したノートの内容でした。
で、ですよ。
そこでは、マズローの欲求段階説を中心に話を展開させてもらいました。
なんですが、、、ぼくの感覚だとマズローの理論のみで人の欲求状態を分析するのは、なんか現実的じゃない気がするんですよね。
マズローの欲求段階説を中心に分析するということは、「この人は今、安全欲求までは満たされてる状態かな。だったら次は社会的欲求を満たしてあげればいいはずだから、、、チームの一員であることを認識させればいいな」という感じになると思います。
でも、多くの方が経験あると思うんですが、人間の感情ってそんなに単純なものじゃないんですよね。いろんな思惑や思想が張り巡らされてますし、なんなら過去のトラウマやしがらみなんかも関係してきます。
なのでぼくとしては、マズローの欲求段階説だけじゃなくて、『ERG理論』も合わせて活用することをオススメしたいんですね。
いやむしろ、こっちのERG理論の方を重点的に採用したほうが現実的かもしれません。
ERG理論ってのは、アメリカの心理学者であるクレイトン・アルダファーが唱えたものでして、さっき話したマズローの欲求段階説を発展・修正した理論になります。
・Existence(生存欲求)
・Relatedness(関係欲求)
・Growth(成長欲求)
この3つの頭文字をとったもので、それぞれ、、、
生存欲求:生きるための物質的・生理的欲求。衣食住や賃金、雇用条件、安全な職場環境に対する欲求。
関係欲求:家族や職場、コミュニティ内で良好な人間関係を築きたい。多くの人から認められたいという欲求。
成長欲求:自分が興味を抱く分野で能力を伸ばしたい。苦手分野を克服して自分だけの力やスキルを身に付けたいという欲求。
というような性質を持っています。
これだけを見ると「なんか、あんまマズローの欲求段階説と変わらんなぁ」ってイメージがありますが、大きな違いは欲求の共存にあるんです。
マズローの欲求段階説だったら、、、
生存欲求
↓
安全欲求
↓
社会的欲求
↓
承認欲求
↓
自己実現欲求
と、「上の低俗的な欲求を満たさないと次の欲求は生まれない」という理論を提唱されていました。
ですが、このERG理論では、「生存欲求」「関係欲求」「成長欲求」の3つが同時的に発生していると提唱されてるんですね。
つまり、『賃金が低かろうがそんなものは関係なしで、とにかく自分のスキルアップを求める人』もいれば、『どれだけ周りから賞賛を浴びてて、他の追従を許さないスキルを持っている人でも、安全な生活を手に入れるためにお金を常に追い求める』ということもあるって話なんです。
なので、人の悩みを聞くときは「マズローでいうどの段階にいるんだろう、、?」と考えるんじゃなくて、、、
「生存欲求・関係欲求・成長欲求それぞれを、どれだけ満たしたいんだろうか?」といった姿勢を向けたほうがいいというわけなんですね。
この視点で考えたほうが、圧倒的に人をしっかり見ることができますし、相手の評価としても「あ、なんかこの人はしっかり聞いてくれてるな」というものになります。
もちろん、他に自分なりのやり方があるのであれば、それが一番いいでしょう。
ですが、相手の欲求を探る基準を持っていないのであれば、ぼくはERG理論をオススメいたします!
田辺輝恭