気絶するほど苦エグいコーヒーが売れてるワケ。常識破りのブランド戦略でファンを魅了する事例
先日、小学4年生の息子が、絵画教室に通いたいと言い出しました。
「え、絵画教室?!」
正直、最初は驚きました。
息子は絵を描くのは好きですが、クレヨンでグリグリと好きなように色を塗るだけで、色使いはまだまだ素人レベル。
しかも、私たちが住んでいる田舎町には、絵画教室は一つしかなく、生徒はほとんどがおじいちゃん、おばあちゃんばかり…。
「それでも行きたいの?」
そう聞くと、息子は目を輝かせて、力強く頷きました。
詳しく聞いてみると、学校の図工の時間に、水彩画を描いたことがきっかけだったようです。
「先生みたいに、水を使って、綺麗に色を塗りたい!」
彼の言葉には、純粋な「好き」があふれていました。
そこで、体験教室に参加してみることに。
教室には、白髪の方々が静かにイーゼルに向かっている中、息子は一人、ちょこんと小さな椅子に座り、慣れない水彩絵の具と格闘していました。
最初は戸惑っていた息子ですが、先生の優しい指導と、周りの生徒さんの温かい励ましもあり、時間が経つにつれ水彩画の楽しさにのめり込んでいきました。
今では、週末になるのを楽しみに、自分の世界を自由に表現しています。
彼の絵は、決して上手とは言えません。
でも、そこには、彼だけの感性と、純粋な「好き」という気持ちが溢れています。
息子は、私に大切なことを教えてくれました。
「好き」という気持ちは、何よりも尊い原動力になる ことを。
そして、年齢や経験にとらわれず、挑戦することの素晴らしさを。
あなたのブランドにも、眠っている「原石」がありませんか?
これは、ビジネスにおいても全く同じことが言えます。
「最高のサービスを提供したい!」
「お客様を笑顔にしたい!」
そんな熱い想いを胸に、あなたはビジネスをスタートさせたはずです。
でも、ちょっと待ってください。
その想いは、お客様にちゃんと届いていますか?
もしかしたら、あなたのブランドは、息子のように、才能を秘めながらも、まだ誰にも気づかれず、眠っている原石のような状態かもしれません。
商品やサービスは、星の数ほど存在します。
その中で、お客様の心を掴むブランドを作るには、ただ商品を並べるだけでは不十分です。
ブランドに命を吹き込む「ストーリー」の魔法
例えば、「Death Wish Coffee」という、ちょっと変わった名前のコーヒーブランドをご存知でしょうか?
彼らは、「世界一強いコーヒー」を謳い文句に、まるでホラー映画のような、ダークで過激な世界観でブランドを展開しています。
彼らのウェブサイトには、ガイコツや死神のイラストが描かれ、「眠気覚ましに最適」「一度飲んだら、もう眠れない」といった、刺激的な言葉が並びます。
一見、奇抜で、万人受けしなさそうなブランド戦略ですが、彼らは、この強烈な個性で熱狂的なファンを獲得し、急成長を遂げているのです。
彼らの成功の理由は、明確なターゲット と、一貫したブランドストーリー にあります。
彼らは、「刺激を求める人」「他とは違うものを求める人」というニッチなターゲット層を明確化し、彼らの心を掴むような、強烈な世界観を創り上げました。
あるいは、「Poo-Pourri」という、トイレ用消臭スプレーのブランド。
彼らは、「トイレの臭い」という、誰もが密かに抱える悩みに対し、ユーモアとポジティブさで真正面から向き合い、世界中で大きな支持を得ています。
彼らの広告は、どれもユーモラスで、思わず笑ってしまうものばかり。
しかし、その根底には、「トイレの臭いを気にせず、快適に過ごしてほしい」という、顧客への温かい想いが込められています。
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彼らは、「恥ずかしい」「隠したい」というネガティブなイメージを払拭し、「トイレの時間をもっと楽しく、快適なものにしたい」という、ポジティブなメッセージを発信することで、顧客の心を掴んだのです。
これらのブランドは、決して大企業ではありません。
しかし、彼らは、 自分たちの「好き」を信じ抜き 、独自の世界観を貫き通す ことで、多くの人々に愛されるブランドを築き上げたのです。
ストーリーテリングがマーケティングを制す
では、なぜストーリーテリングが、マーケティングにおいてこれほどまでに強力なのでしょうか?
それは、 人は感情で動く生き物 だからです。
私たちは、論理的な説明よりも、感情に訴えかける物語に、より強く心を動かされます。
ブランドストーリーを通して、お客様はあなたの情熱、商品に込めた想い、そして、ブランドが体現する世界観に共感し、深いレベルで心を動かされるのです。
そして、その共感こそが、 お客様との間に揺るぎない絆を築き、長期的な信頼関係を構築する 上で、何よりも重要な要素となります。
物語を紡ぎ出す3つのストーリーテリング
効果的なブランドストーリーを作るためには、いくつかの手法があります。
ここでは、代表的な3つのストーリーテリングをご紹介します。
1. ヒーローと課題、そして解決策
これは、最も一般的で、強力なストーリーテリングの手法の一つです。
まず、 顧客を「ヒーロー」 として設定します。
そして、ヒーローが どんな課題に直面し、どのように乗り越えていくのか を、ドラマチックに描き出すのです。
この時、 あなたの商品やサービスが、ヒーローを助ける「魔法のアイテム」 として登場します。
例えば、あなたがダイエット食品を販売しているとします。
顧客は、「なかなか痩せられない」「リバウンドを繰り返してしまう」といった悩みを抱えています。
そこで、あなたの商品が、 ヒーロー(顧客)を「理想の体型」という目標達成へと導く「魔法のアイテム」 として登場するのです。
2. 創業秘話や商品開発の裏側エピソード
あなたのビジネスが、 どんなきっかけで生まれ、どのように成長してきたのか を語るのも、共感を呼ぶ強力なストーリーテリングになります。
なぜ、あなたは、このビジネスを始めようと思ったのですか?
どんな困難を乗り越え、今のビジネスを築き上げてきたのですか?
商品やサービスには、どんな想いが込められていますか?
これらのストーリーは、あなたのビジネスに 人間味と温かさを与え 、お客様との距離をぐっと縮めてくれるでしょう。
3. 顧客体験を語る、お客様の声
実際にあなたの商品やサービスを利用したお客様の体験談は、 何よりも説得力のあるストーリー となります。
お客様が、 あなたの商品やサービスを通して、どのように悩みを解決し、どんな喜びを感じたのか を、具体的エピソードを交えながら紹介しましょう。
お客様自身の言葉で語られる体験談は、他のどんな広告よりも、 顧客の心を動かす力 を持っています。
あなただけのブランドストーリーを描き出す11の質問
では、実際に、どのようにブランドストーリーを構築していけば良いのでしょうか?
そこで今回は、あなたのブランドストーリーを明確にし、お客様を惹きつけるメッセージを生み出すための、 11個の質問 をご用意しました。
少しの時間でいいので、周りの雑音を消して、自分と向き合いながら、本音で答えてみてください。
まるで宝探しをするように、あなたのブランドに眠る「原石」を、一緒に掘り起こしていきましょう。
✨ あなたのブランドを輝かせる11の質問 ✨
なぜ、あなたは、このビジネスを始めようと思ったのですか?
原点に立ち返り、あなたの心を突き動かす情熱を言葉にしてみましょう。あなたのビジネスは、お客様のどんな悩みを解決しますか?
商品やサービスを通して、お客様にどんな「変化」をもたらしたいのか、具体的に考えてみましょう。あなただからできること、あなたにしかできないことは何ですか?
競合にはない、あなたの強み、独自性を明確にしましょう。ビジネスを通して、お客様とどんな「関係性」を築きたいですか?
お客様にとって、あなたはどんな存在でありたいですか?どんな人に、あなたの商品やサービスを届けたいですか?
あなたの理想のお客様を、年齢、性別、職業、ライフスタイルなど、具体的にイメージしてみましょう。お客様は、どんな時に、あなたの商品やサービスを求めていると思いますか?
お客様の行動や感情を想像することで、ニーズが見えてきます。お客様に、どんな気持ちになってほしいですか?
ワクワク感、安心感、高揚感… あなたのビジネスがもたらすポジティブな感情を想像しましょう。あなたのビジネスを通して、どんな世界を実現したいですか?
あなたの最終目標、目指す未来を大きく描きましょう。あなたのビジネスを一言で表すとしたら?
あなたのビジネスの信念を凝縮した、力強いメッセージを見つけましょう。お客様に、どんな「体験」を約束できますか?
商品やサービスを通して、お客様にどんな体験を提供したいのか、五感を意識して表現しましょう。あなたのこれまでの経験や、ビジネスに込めた想いを教えてください。
あなたのストーリーは、お客様とのエモい繋がりを生み出します。
想いをカタチにする、ブランドボイス構築のススメ
11個の質問への答えが明確になったら、次はそれを元に「ブランドボイス」を確立します。
ブランドボイスとは、ブランド独自のトーン&マナーのこと。
例えば、
ターゲット: 30代女性
提供価値: 洗練された空間でのリラックス
世界観: シンプルで上質なライフスタイル
を提案するブランドがあるとします。
この場合、ブランドボイスとしては
言葉遣い: 親しみやすい丁寧語
トーン&マナー: 落ち着きのある上品な表現
写真イメージ: 白を基調とした洗練された空間
などが考えられます。
一貫性のあるブランドボイスを確立することで、顧客はあなたのブランドイメージを明確に認識し、親近感を持つようになります。
あなたのビジネスに眠る物語を解き放とう
あなたも11個の質問をコンパスに、あなただけのブランドストーリーを作ってみてはいかがでしょう?
そこにはきっと、お客様の心を揺さぶり、周囲の人々どころか日本全体を変えるほどの無限の可能性が眠っています。