見出し画像

Unity6の2024年10月17日リリースが確定したのでいろいろ調べる

一昨日、Unityの公式ブログでUnity6の安定版が10月17日にリリースされることがアナウンスされた。
※公式ブログの記事はこちら

これはかなり待望のリリースであり、来年5月にはバージョン6.1もリリースされるとのこと。
というわけでさっくり「Unity6で何が変わるの?」ということを現段階で発表されている内容含め軽く紹介していく。

なお、先にヴィジュアル的に「すごそう!」を体験したい人は↓のUnityが公開したデモ『Time Ghost』を観ていただくと良い。昔、Unreal EngineやCRYENGINEあたりで受けた衝撃と同じような感覚に陥ると思う。

Personal版のスプラッシュスクリーン任意化

これが何よりも嬉しいので先頭で紹介させてもらいたい。
Unityで作られたゲームは、スプラッシュスクリーンと呼ばれる起動時に表示される画面で"Made with Unity"と表示させることとしていた。これによって、世の中のゲームには"Made with Unity"と書かれたゲームが大量に発生することとなった。
このスプラッシュスクリーンが任意となったのだ。

ブランディングとして広めるためにこの戦略を取ることは十分理解できるので、別に悪感情を持っていたわけではない。
だが、ゲームで遊ぶときに最もテンションが上がる起動時に余計な要素は少ないほうが嬉しいのだ。今までPersonal版を使っていたユーザーはきっと喜んでいることだろう。

Unity6のリリースとは別に、このあたりのサブスクリプションプランの変更はこちらで公式に通知されている。
一時期Runtime Feeという過去最高に炎上したであろう改訂案が撤廃されたり、Unity Proが値上げしたりといろいろあったが、最終的に開発者も満足する形にしてくれたのだからUnity Technologiesには感謝の意が耐えない。

ECS for Unity

ECSの説明をする前に、UnityのDOTS(Data-Oriented Technology Stack:データ志向技術スタック)について触れておかなければならない。
超簡単に言えば「ハードウェア(ゲームをやる端末)に優しくなる」ということだ。ソフトウェア開発(Unityにおいても)における従来よく使われていたオブジェクト指向プログラミングを制限し、データ指向へと切り替えることによって、よりゲームのパフォーマンスやスケーラビリティ(拡張性)を向上させようというUnityの基盤刷新がこれにあたる。

なお、DOTSについてちゃんと知りたい人は、少し古いがこちらの安原氏によるスライドを見てほしい。とてもわかりやすい。

ECSはEntity Component Systemの略で、この刷新の中に含まれる改革の一つだ。
ECS自体はUnityのオリジナル技術というわけではなくアーキテクチャの一つであり、こちらもより柔軟かつ高効率でデータを取り扱うために最近採用されることが増えている技術である。

もともと、自分はBevy EngineというRust製ゲームエンジンを触っているということもあって、ECSの概念がなるべく広まることを祈っていた。(専門学校で教えるときはオブジェクト指向から教えないとよろしくないのでまだそのあたりに触れていないが)
そんなわけで、今回のUnityのECS採用の本格化は喜ぶべきところなのだ。

Web公開最適化

今までスマホゲームは「AppStoreやGoogle Playからインストールして使うもの」であるのが基本だったと思う。
PCゲームをする人間からすれば、古くはFlashの時代からブラウザゲームというジャンルがあったものの、これはスマホゲームユーザーからすると一般的ではなかった。

今回のUnity6ではこのあたりが改良されている。
具体的には、今までWebで3Dなどの高レベルグラフィックを扱う際に使われていたWebGLという技術からWebGPUという技術に進化するということなのだ。これをUnityは次世代WASM(WebAssembly)と称しており、ブラウザゲーム復興のベースにすらなりそうだ。

スマホのブラウザでも快適に動くことを目指しているとのことで、すでにiPhone 15 Proで動かせる2Dゲームのサンプルが用意されている。
こちらに詳しく書いてあるのでぜひ読んでみてほしい。(英語が苦手な場合はDeepL等でぜひ)

まとめ

まだまだ新要素はあるが、ひとまず自分が嬉しい点や楽しみな点をまとめてみた。
先にも触れたRuntime Fee事件からUnityからGodot Engineへの流出が著しかったが、ようやく一段落してまたUnityへ舞い戻ってくる人たちが増えそうだ。Godot Engineも良いゲームエンジンではあるが、どちらかというと2D向けのイメージが強いため、3Dを用いたゲームを作りたい人からするとUnityは捨てがたいだろう。

普段、専門学校などで人にゲーム開発だったりその他ITスキルを教える仕事をしているが、Unity6はできる限り早くキャッチアップして還元したい。プレスリリースはすでに触っているが、やはり安定版がほしいのだ。

みんなも楽しくゲーム作ろうぜ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?