見出し画像

どれくらい練習したらプロになれますか?

 能楽教室で小学校に行くと、ときどき聞かれます。 
「楽器はいくらしますか?」
とか、すごく現実的なところがありますね、子供には。

 常に結果のみ問われるのがプロでしょうから、どれだけ練習しようが、実際に出来なければ仕方ありません。
 しかし一方で、イチロー選手が人並み外れて練習していたとか、ピアニストは毎日5時間練習するとか、鬼滅の刃の柱稽古とか、そういう修行エピソードは受けが良いし、私も結構好きです。どんなふうにどれだけ稽古したら、恥ずかしくない能楽小鼓方になれるのだろうかと悩んだりもします。
 
 まず、「恥ずかしくない」ための大まかな基準を考えてみます。
①能50番、囃子100番をいつでも打て、かつお弟子さんにお稽古できる※
②チ・タ・プ・ポの四つの音、ヤ・ハ・イヤの三つの掛ケ声を確実に演奏できる
③姿勢を崩さず、行儀よく一番の能を勤める事ができる
④能の内容を理解し、また人に説明できる
⑤世阿弥を始めとしたメジャーな伝書、能の本説になっている和歌や物語などの古典文学を読んでいて、かつ内容を人に説明できる

 あと、「外国語が出来て、外国人に解説できる」「楽譜が読めて、西洋音楽との比較検討が出来る」「新作囃子を作曲できる」なども考えたのですが、ちょっと気が遠くなってきたのでこれくらいにしておきます。
 研修生の最初の頃、謡の講師でいらした故木月孚行先生から「25歳までに、とにかく覚えられるだけ覚えなさい」とご忠告いただきました。
 今年45歳になり、いまだに覚えものだけで悲鳴を上げている現実を省みて、少なくとも「これだけやったんだから、仕方ないだろう」と言える稽古を設定して実践したい。
 次回から①〜⑤を可能にするための方法について考えてみます。出来るのか?

※むかし、小鼓方他流の大先輩から「能50番、囃子100番をいつでも打てるようになれば、やっていけるよ」と仰っていただいたことがあり、目安として引用しました。

いいなと思ったら応援しよう!