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大学生のゆるゆる読書(?)記録 ④【薤露行(他)】
1週間ぶり、ぐらいでしょうか。
ここ最近は、順調に記録を残せているような気がします。
さて、今回も積読解消シリーズです。
タイトルでネタバレ済みですが、有名なあの人の、あの作品集です。
【2022/8/31(水)】
夏目漱石 作『倫敦塔・幻影の盾 他五篇』岩波文庫(初版 1930)
……引用の仕方が怪しいですが、これで伝わりますかね?
『こころ』でも『坊ちゃん』でも『吾輩は猫である』でもありませんが、夏目漱石の著作です。
原本は『漾虚集』(1906)というタイトルで、留学先であったロンドンを舞台とした話や、アーサー王伝説を下敷きとした物語など、計7作品が収録されています。
以下、収録作品。
星がついているものは、現時点で読了済みです。
☆「倫敦塔」(1905)
☆「カーライル博物館」(1905)
「幻影の盾」(1905)
☆「琴のそら音」(1905)
「一夜」(1905)
☆「薤露行」(1905)
「趣味の遺伝」(1906)
ここまでの流れでお察しの方もいるとは思いますが、「薤露行」目当てで買いました。なので、これを読み終わった時点で記録しようと考えていたのですが、他の作品も読みごたえがありました。
個人的には、「カーライル博物館」と「琴のそら音」がおすすめ。
単純に、田中がエッセイ好きということもありますが、夏目漱石の考えていることが面白いので、気になった方は読んでみてください。
で、「薤露行」。
「やっと読めた!」、これに尽きます。
例のごとく、アーサー王物語ですが……。何故か後回しにしていたので、ちゃんと読めて良かったです。
簡単に紹介しますと、この作品は「アストラット(アスコラット)のエレイン」を描いたもので、トマス・マロリーの『アーサー王の死』や、アルフレッド・テニスンの『シャロットの女』に基づいています。
ランスロットとグィネヴィア王妃の恋愛と、エレインの淡い恋心。ランスロ関連では有名な話です。
本当は、テニスン版との比較なんかを、書けたら良かったのですが……。
……「シャロットの女」、読んだことないんですよね。
ですが、ご安心を! こういうこともあろうかと、書店に寄って購入しておきました! なので近い内に読みます!
(『ローランの歌』? さあ、知らんな……)
「薤露行」の大きな特徴は、夏目漱石がアーサー王伝説を、「小説」として面白くしている点だと思います。
例えば『アーサー王の死』を読んでみると、如何せん「小説」とは言いにくい。
少なくとも、近代小説とか、現代小説とか、そういうのを想像してしまうと、間違いなく読みにくい。
○○卿が何々をした。それを見た△△卿が、何々をした。さらにそれをみた××卿が……。
……こういう文章が、延々と続いています。
私たちの考える一般的な「物語」とは、やはりどこか違うのです。
しかし、さすがは夏目漱石、と言ったところでしょうか。
「薤露行」を通して、「伝説」を「小説」にしているんです。
例を挙げると、情景描写や人物描写。本当に鮮やかで、美しい。
どことなく和風なのも、雰囲気があって面白い。「騎士」を「侍」と書いたり、色彩が雅だったり。
これは勝手な想像ですが、もし日本でアーサー王伝説が有名になっていたら、きっとこんな感じだったんだろうなぁと思います。
色々書きましたが、とにかく田中は、夏目漱石を読めたことに大満足です!
「幻影の盾」や「趣味の遺伝」なども読んでいるので、気が向いたら記録しようと思います。