メタコミュニケーション女
ニンニクのたっぷり効いた
トマトパスタを食べてる最中
[今、橋の方に向かって歩いてるよ]
とメッセージ。
あーもう!
タイミング悪いな
チューしたら臭いって言われるやん、、
と、イラッとしながらも
慌てて歯磨き2回してシャワーして
部屋着に毛の生えた程度の軽装で
ドアバッターんっ。
急いで捕まえたタクシーで
あの公園の橋らへん!
と犯人を追うかのように駆けつける。
すると
[今あたしバス停だよ~]
いや、どこのだよ笑
少なくとも橋の近くに4箇所のバス停。
当てずっぽで1つ目。
背筋のピンと伸びた老婆が。
ここじゃない、、。
急いでスマホを取り出すと
次のメッセージが。
[あ、まさか青シャツ?]
いや、
坊ちゃんの赤シャツみたいに言うな笑
反対車線。
2つ目のバス停。
あ
いたいた。
ちょっとふてくされ気味に
じっとこっちを見てる。
うわうわ、板尾創路みたいに
めっちゃ見てる笑
いきなり呼んどいて、、。
あ、赤いランニング用Tシャツだ。
彼女こそ、赤シャツだ笑
車の来てない隙にダッシュ。
[ちょっと!青はやめてよ~
あたしたちコンビみたいじゃん]
どうでもいい
赤鬼青鬼と揶揄されようが
知ったこっちゃない。
とりあえず会えたんだから。
[橋を2往復したんだよ、疲れた]
[往復したら来るかなと思ってさ]
[だって今日絶対会えると思ったもん]
僕の返答は無視してるが、
彼女の直感は当たっている。
メタコミュニケーション能力に
自信を持っているらしい。
橋を2往復する間に
歯磨きを2往復させていた。
発火するかと思うくらい
歯磨きの摩擦エネルギー
その振動が橋を揺らし
伝わったのかもしれない。
そんなわけねーだろメンヘ◯!と
僕が何者かに
斬られないように
彼女はいつもそんな外界との
緩衝地帯になってくれる。
[あはは笑、わかるよ~]
と、いつも同調する。
同調した後、言葉はない笑
言葉なんかめんどくさい彼女
言葉からは逃れられない僕
うねりがピタッと合た瞬間を
もう少し大切にしていたら、
あんなに早く別れることには
ならなかったかもしれない。
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