月の影 影の海 (上) 十二国記 1 (新潮文庫)を読んだニワカの感想

最近、通学の際はいつもスマートフォンでゲームをするか、アマゾンプライムで映画やドラマを観ることくらいしかやることがなく、活字に触れる機会がめっきり減っていた。たぶん最後に読んだ小説は、堂場瞬一著『グレイ』だ。ピカレスクロマンという謳い文句(無知のため意味が分からず調べた)の通り、日常の中での社会問題を取り扱っている小説で、仄暗い雰囲気の小説だった。

言ってしまえばあまり後味の良くない話だったので、次は冒険するような異世界での物語が読みたいな、と思っていたところ、書店で十何年ぶりに新刊が出るとフェアが開催されていた『十二国記シリーズ』が目に留まった。根強いファンが多く有名な小説ということもあり、わたしも名前だけは知っていた。ファンタジーもので冒険ものなのかな。前提知識ゼロの状態で購入を即決した。

そんなわけで、ミリも知らない私が、1巻の上巻を読んでみた感想を書く。

(先に言うと、十二国記シリーズの熱烈なファンな方は下記の感想を読んだらブチぎれるかもしれないので、ここから先は自己責任でお願いします。新参者のたわごとだと聞き流せる方のみお読みください。また、感想なのでネタバレ含みます)

主人公がいたたまれない

まずこれに尽きる。

1巻の上巻だけしか読んでいないが、この巻の物語の要約は、両親に自身の生き方を抑圧された少女、陽子が突如として「ケイキ」という異世界の住人に、異界に連れ出されて死にかけ、その後異界で一人ぼっちにされた挙句、日本に帰れないことを知って絶望し、また死の淵に立たされるというストーリーだった。

いや陽子が何をしたっていうんだよ。

確かにいじめを見過ごすような行動や剰えそれに便乗するという犯罪加担行為は行っている。それはものすごくよくない。だが実際、彼女の心情の叙述にあるように、学生内のいじめは「やらなきゃやられる」というもので、彼女は自分の可愛さにその行為をした。いじめにおいて100パーセント悪いのは加害者で、主犯格とその加担者というレベルの差こそあれ、たぶん被害者にとっては同じ加害者に過ぎないから、何とも言えないが、しかしながら、彼女にとっての自宅を除く居場所である学校で生き抜くためには、それしか方法がなかったのかもしれない。

上記以外、こんなむごい状況下にいなければならない理由が見当たらない。というか、そもそも普通のまじめな女子高校生こんな状況に置こうとした作者は鬼だとすら思った。

しかも日本という平和な国で普通の生活を享受してきたのに、突然敵の異形を「殺せ」と言われ、できない状況に追いやられたら無理やり殺しを行わせられる。最終的には敵にやられて倒れた時に、夢の中で現実世界で陽子が連れ去られた後の周囲の人々の言動(殆どが陽子をけなす発言)が綴られており、とてもいたたまれない。鬼確定だ。

いうならばヱヴァンゲリヲンのシンジくんが突如として初号機に乗れと言われ、操作もわからぬままなぜシンクエロが上手くいかないのか、なぜ使徒を倒せないのかと叱責され続けているのと同じ状況がずっと続いているのである。

ケイキ誰だよ

次にこれだ。

重要人物であるはずの「ケイキ」についての情報が少なすぎる。

「お捜し申し上げました」以外、彼の印象に残るセリフはあまりない。
異界に連れ出しておいて敵にやられてはぐれるし、そもそもその名前以外の情報が、怒涛の展開によりほとんど入ってこなかったことにより、私の中での彼の立ち位置は「キュウべえ」と同じとなってしまった。だって主人公に命令ばかりするし、そのくせ大事な情報は決して与えない。悪役なんじゃないかとすら思った。(恐らく小説の読みすぎ)

もしかしたら人物紹介等に書いてあったのかもしれないが、ぶっちゃけ「ケイキ」の漢字すら知らない。

ただイケメンらしいので、小説を読破したらアマゾンプライムでアニメをゆっくり見ようと思う。

目まぐるしすぎる展開

最後の感想としてはこれだ。

確かに帯や説明文には【怒涛の展開】と記載されていたのだが、その予想を遥かに上回る怒涛の展開だった。

富士急ハイランドのドドンパに乗っている気分だった。

「もうこれ以上陽子にひどいことしないで!」ということを思いながら読んでいるけれども「これ以上」が必ずやってくる展開。1巻の前半部分でこんなにも驚愕させられた話は他に類を見ない。

感想はさておき、すでに1巻の下巻は購入済。煽り文句を見ると非常に読者の不安をあおる文面が記載されているが、何としてでも読み進めようと思う。こんな感想を書いておいてなんだが、好みの展開であり、文章がきれいで読みやすくすぐに読了し、いつのまにかお気に入りの一冊になっていた。

「またまた~」と思っていたらガチの怒涛加減。語彙力がなく申し訳ないのだが、百聞は一見に如かずということでぜひ読んでいただきたい。

というか、明るい異世界冒険譚読もうと思ったのに結局理不尽な世界に立ち向かっているお話しをよんでいたので明るいファンタジーもよかったら教えてください。






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