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人を辞めさせることにかけてはこの上ない才能を発揮するお局さんにハンドメイドアクセサリーを渡したら、販売を始めていたという話

人を辞めさせることにかけてはこの上ない才能を発揮するお局さんがいた。
もともと好き嫌いがはっきりしている私なので、お互い同じ匂いを感じたのか、お局さんと二人で話すことはあまりなかった。 

この時の私はレジンアクセサリー作りにどはまりしていた。

青の風鈴ピアス

レジンとは紫外線やLEDライトで硬化する樹脂と、主剤と硬化剤を混ぜ合わせて硬化する樹脂と2種類あり、この写真のようにうるっうるつやっつやなアクセサリーを作ることが出来る。
私は光に当てては一人でニタニタし、「はい、もう可愛いぃ!」とブツブツつぶやきながら、ストレス発散に夜な夜な作品を作っていた。

もともとモノを作り、完成させたことで満足してしまうので作った作品を自分で使うことはほとんどなかった。なのでまぁまぁ出来のいいものは周りに配り回っていた。今思うとなかば押し付けていたのかもしれないぐらいの勢いで、貰ってもらっていたので、興味がない人にとっては、わけのわからんもん押し付けられた上笑顔でお礼を言わなければならず、おまけに私に見せるために頃合いを見て身につけなければいけないという、苦行だったのかもしれない。

例に洩れずそのお局さんには、私の指輪のハンドメイド作品が渡るのだが意外にも喜んで貰え、いつもは人に見せない笑顔でお礼を言われた。
不覚にもそのツンデレに一瞬キュンっとしてしまったが…
私の指輪を付けた手で、新人さんに理不尽な指示を出しているところを見るにつけ、複雑な気持ちになっていた。

ケチで、性格の悪い私は人の好き嫌いもはっきりしていて、嫌いな人にはどす黒いオーラを放つことが出来るスキルを持っている。よほどの回避スキルがない限り、そのオーラを破って入ってこれる人はいない。
私はこのお局さんにもMP全開でどす黒いオーラを放っていたが、指輪を喜んで貰えたことは正直嬉しかった。

この、私が作ったもので色んな人(嫌いな人も)が笑顔になってくれるという体験が、ハンドメイドを販売してみるというきっかけになっていった。
仲の良い人たちは、笑顔を見せてくれるのは(社交辞令も含め)普通っちゃ普通のことだが、私が嫌いな人かつ、向こうも私が嫌いであろう人が笑顔で喜んでくれことは、なんとも言い表せない感覚だった。
こんなことでハンドメイドの世界に踏み込んだ私は相当ひねくれていると思うが、私のことを(多分)嫌いだろうに「このスキルはほったらかしていたらもったいない」と言ってくれるということは、なんだか変な自信になった。

そして、この時こんな面白い事も分かった。
私はストレス発散のためにモノを作っていたので、ストレスゲージが溜まるほどキラキラ、ギラギラした作品を作ってしまうという事だ。私をよく知っている人は、私がギラギラしたものを作りだしたら、何かを察して甘いものを差し入れしてくれるようになっていったりもしていった。
今は落ち着いた作品が多いので私のストレスゲージもそれほど溜まってなさそうだ。



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