(30) 通勤時間が爆長くなったので毎日本を一冊ずつ読むことにした
通勤時間を利用した読書の記録です。
166. 心がつながるのが怖い 愛と自己防衛
Prime readingより。ずっと前に読もうと思って図書館から借りたんだけどテンションが上がらなくて読めなかった本。よくよく見たら『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』のイルセ・サンの本なんだな。なかなかエグいことが書いてあった。
私の経験上、自分の幼少期や両親について度を超えてポジティブに語る度合いと、その人が実際にはどれだけつらい幼少期を送ってきたかという度合いは比例します。
う〜ん(わかる)……。このあと「子ども時代に欠けていたものをパートナーに求めてしまう」というくだりになるんだけど、マジでそれはそう と思った。わたしもそうしてしまって交際相手と上手くいかなくなること、あったなあ。親を憎みきるのでもなく、理想化しすぎるでもなく、フラットな人間として見られることが大事だとは分かっているけど、難しいよね。ざーっと読んで「なんか”癒してくる”な……」とひねくれた感想を抱いたけど、いま感想を書くために読み返したら、わたしが共感する点はそこまで多くはないがいい本だなと思った。 両親と仲がいい、あるいは親のことを尊敬している、だけどなんか人間関係がうまくいかない という人のキーになりそうな本。
167. 夢をつなぐ 宇宙飛行士・山崎直子の四〇八八日
図書館で借りた。宇宙飛行士の山崎直子さんの自伝。読書記録 第28回の『南極で心臓の音は聞こえるか~生還の保証なし、南極観測隊~』から引き続き、人間が限りなく遠くへ行く本が読みたい時期。山崎さんの少女時代から宇宙に行って地球に帰ってくるまでを軽やかに書いていて、小中学生の読書感想文の題材にも使えそうな読みやすい本。
読み進めていくうちに、特に終盤、この人は「美」にすごく惹かれる人なんだな と思って、ジーンと来てちょっと泣いてしまった。人が真に心を震わせる様子が想像できるとあてられて泣いてしまう。宇宙に飛ぶまでの実にさまざまな訓練についても書かれているんだけど、想像するだに凄まじく、それをさらっと書いているのが本当にかっこいい。しかもそこまで準備しておいても、さっくり延期したり死んだりするかもしれないのだから、宇宙飛行士とは凄まじい仕事だと思う。
小さい頃わたしは母親に「宇宙飛行士になれ!」って言われていたけど、こう読むと絶対向いてない仕事だなぁと思った。まず誰かに自分のミッションの時期を勝手に決められるの嫌だし、人とずっと一緒にいて平穏に過ごし続けるのも難しい気がする。でもいま大人になってみて思えば、宇宙飛行士とは別の仕事でも、自分の夢をつなぐことはできる。自分のしたいことに向かって努力して実現する力について希望を抱く本だった。いい本。
168. 発達障害かも? という人のための「生きづらさ」解消ライフハック
Prime readingより。わたしはたぶん発達障害じゃないけど、発達障害の人向けのライフハックを読むのが好き。周囲に明らかに発達障害傾向があるが本人は気づかず悩んでいるという人が現れたときに、ただ本人にいらついたり個別にアプローチすることに留めたりするのではなく、なにか体系的に渡せるものを持っておきたいと思うから。これは今の職位にならないと考えないことだっただろうな。しかしこう書くと実に傲慢である。そもそも人に何かを教えるというのは傲慢なことである。
話がずれた。こういうライフハック系の類書は世間にはまあまああって、以前も読んだ『発達障害サバイバルガイド――「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』などが今話題だと思うけど、どれも読み通すと「発達障害じゃなくても使えるわ〜!」という感想が出てくる。たとえば、
衝動買いをおさえるためにわざわざポイントカードやポイントアプリに登録して、そのポイントが貯まったときにしか買い物をしないと決める
へえー!たしかに! これは使えるなと思った。
逆に「これは大変そうだな……」と思った当事者の悩みは、
入浴の際、どの程度洗えば汚れが落ちるのかわからず、入浴時間が長くなったり、逆に汚れが落ちきっていなかったりする。
本で取り上げられているくらいだから割とあるあるなんだと思うが、そんなこと考えたことなかったので、それは大変そう!と思った。ちなみに、上記の悩みに対する本の中での回答は以下の通り。
頭や身体は4~5分洗えば十分汚れが落ちると思うので、だいたい4~5分の曲でプレイリストをつくり、1曲が流れている間は洗うようにします。 シャンプーやボディーソープを洗い流す時間も含めて、1曲終わったら終了です。
手洗いのときにABCの歌を2回口ずさむとしっかり洗えるというのと同じメソッドだ。いろんな人がいろんなことを頑張って生きているというのが分かると少し元気が出る。
169. うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間
Amazonのおすすめに出てきたものを、Kindleで購入。うつ病を経験したプロ棋士の闘病記。これはいい本だった!(毎回読書記録を書くときに「いい本だ」と言っているような気がするが、定型文ではなく、まじでそう思って書いている。)将棋に生き、将棋に生かされた著者がうつ病から将棋で抜け出す様が描かれていて胸に響くものがある。よく双極性障害の母が「うつは脳の病気」と言っていたが、この本にも同じことが書かれていた。そしてこの本の記述を追っていくと本当にそうなんだなと思わされる。
わたしも今年は見事に「コロナうつ」になった。身体の芯から泥になる感じがあって、今でも朝に動悸が止まらなくなったりもする。これでもうつの症状がある人たちの全体から見ればかなり軽症なはずなので(医者には「うつの手前」と言われている)、これのスーパーヤバい版があるのだと思うと、あな恐ろしやとしか思えない。とにかく人間、無理をしてはいけない。思わず読み終わった後に厚生労働省のうつ病予防のページを読み漁ってしまった。
少し話は逸れるが、わたしは、母が長年双極性障害に苦しんでいたということもあって、今でも自分の抑うつ・うつを正しく認識することができないでいる。「気力もないし死にたいけど、お母さんに『そんなのうつじゃない』『辛いふりをするな』って言われたから、そうなんだろうな」という認知の歪みがあるのだ。「辛いけど、もっと辛い人がいるので」とか、「辛いけど、客観的に見て幸せな待遇を受けているので」とか、理由をつけて治療から遠ざかろうとするので、埒があかない。今回のうつに関しても周囲の人に「これ以上仕事でボロボロになっているのを見たくない」と言われてやっとこさテコ入れをしようと思って今に至るのだが、その言葉がなかったら未だに毎朝駅のホームで「ここで飛び込んだらすべてが終わりになってくれるのになあ」などと考えているかもしれない、というか飛び込んでいたかもしれない。この本を読んで、その一番しんどかった当時(、といいつつそれはこの読書記録を始めた当初くらいの近い過去でもある、)を懐かしんだりもした。わたしの場合はうつの軽いうちに治療を受け、本が読めるようになったというのがまだ救いであったことだなあ。
さらに追記。これを書いている途中、うつ病と抑うつの違いについて調べて、ちょっと動揺している。わたしは自分に起きた状態を「抑うつ」だとずっと認識していて、ここでも初めは「コロナ(抑)うつ」と書いていたのだが、もしかして本当にうつ病の入口だったのかもしれないと思って途中で書き直した。というか医者に「うつの手前」って言われたのを勝手に抑うつと解釈していたんだと気づいた。まじで自分の認知の歪みは怖い。
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