1週間で3kg痩せた

ストレスが溜まっていたのだと思う。職業柄、塩素系の消毒液に曝露される時間が長かったことも原因かもしれない。最初は下半身だった。下の下だ。30代だったが老化の一種と思っていた。

それはサラリーマン時代の最後の年のできごと。気が付けば顔にも飛火していた。眼の周りと、口の周り。周りの人は優しいもので、おそらく気付いてはいるだろうが、誰もが口にはしなかった。

尋常性白斑。色素が消えて皮膚が部分的に白くなる病気だ。徐々に広がっていくから恐怖も覚える。最初は「白人になってまう」と冗談交じりに思っていたが、それどころではなくなった。症状がストレス源となって、症状は悪化していく。負のスパイラルだ。僕は自身の外見を気にしない方だが、さすがに堪える。痛みは無いし、生命の危機に繋がるようなことはない。けれども、新たなストレス源になったことは確かだ。僕のボディケアは明らかにモチベーションを失った。

病院には行っていない。どうでもよくなった。いまさら困ることも無い。体重も増えた。髪型も前以上に気にならなくなった。寝ぐせが付いていても出かけてしまう。髭の剃り残しも増えた。新たな症状も加わった。尋常性乾癬。これもストレスが原因らしい。僕の体はボロボロだ。本当は恥ずかしかった。けれども、気にしない人を装うことによって、ストレスを低減していたのかもしれない。

そんなこともあったからチームを組みたかったのだと思う。矢面には立ちたくない。裏方にまわりたかったのだ。『目指せ新宿3丁目』。自信はあった。成功のビジョンも見えていた。けれどもチームは作れなかった。僕を含めた誰もが、矢面に立つ勇気を持ち合わせてはいなかったのである。

もちろん、この病気が無くても僕は矢面に立つことを拒否していただろう。性格の問題だ。けれども、背に腹は代えられない事情があった。騙し騙し矢面に立つ経験を積んだ。おかげで慣れたが克服したわけではない。苦手なことを我慢することに慣れただけで、得意になったわけではないのである。いわば仮初の姿で矢面に立つことを覚えたのだろう。農園の経営が上手くいかなかった理由はここにもあると思っている。

そして今また新たなプロジェクトを進めている。「どうせ辞めてしまうなら」という気持ちで高いハードルを越えようとしている。モチベーションの置き場は誰にも話してはいない。僕のいたずら心は踊り出している。おかげで前へと進めているわけだ。

人に会うことも多くなるだろう。実際に予定にも入ってきている。ボディケアもしなくてはならない。これは敬意だ。必要ないかもしれないが必要なのである。意味の無いことだからこそ、相手に誠意が伝わる。そう思っている。

僕は減量することにした。1週間で3kg痩せた。あまり急激な減少がよくないことは知っている。根を詰めても仕方がない。でも焦ってしまう。どうしたものか。けれども楽しい。前を向いて生きるとはこういうことだと思う。

とりあえず今月は出張が3件入った。いまから緊張している。もちろん準備は整えておく。ご褒美も用意した。出張にカメラも持っていくことがそれだ。早朝と夕方に山と海を撮れるだろう。その日は農作業が出来なくなるが仕方ない。僕の写真は止まらないのである。

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