仕事も写真も

医療系の研究施設で働いている。僕は短期転勤族だ。今の事業所は9か所目。場違いな程の仕事を任されているが、楽しくやっている。ライフワークの写真も好調だ。雪であまり遠出は出来ないが、料理の写真を中心に撮り続けている。

先日は、隣の県にある漁港の市場へ行ってきた。以前は、そこの県に住んでいたから、その漁港の市場へは何度も通っていた。魚を一本買うとかなり楽しめる。

中でも『すずき』が旨かった。たんぱくな味と思いきや、旨味を強く感じられたのである。ほとんどは刺身で食したが、寿司も握ってみた。案外できるもの。料理が楽しく、そして旨い。その漁港の市場のファンになっていたというわけだ。

その日も魚を1本買って帰った。鯖だ。市場の兄さん曰く、生食できるらしい。そんなことを聞いたので、恐る恐る3枚におろした後に、半分を生食してみることにした。

旨かった。臭みはゼロ。脂がのっていたが、その臭みもない。けれども、さっぱりとした味わいだった。その後の腹痛もゼロ。市場の兄さんの言葉に嘘は無かったのである。

もう半分は『しめ鯖』にして食した。これはもう本当に旨い。過去に食べてきたものとは別物。『人生で美味しかったもの3選』に入った。ひとつは茨城で食べた『大洗の生あん肝』。もうひとつは北海道で食べた『苫前のバフンウニ丼』。そこに肩を並べるほどに『塩釜のしめ鯖』は美味しかった。

この地の牛肉も旨い。やはり価格は高いが、ものにしては安いと思える。すきやき、しゃぶしゃぶ、やきにく、すてーき。引越してきてから間もないが、それらの食べ方は全て網羅していた。

スキーも復活していた。職場にボランティアでインストラクターをやってる人がいて、その人と話をしているうちに滑りたくなったのだ。自宅から割と近くの距離にスキー場はある。かなり有名なところだ。

毎週ではないが、複数回にわたって通ってみた。やはり楽しい。久しぶりに練習モードで滑った。かなり下手くそになっていたが、勘を取り戻すのに夢中になっていたと思う。

仕事はあいかわらず忙しい。けれども新たな技術も獲得していた。研究員さんと接する機会も多いが、コミュニケーションもとれていると思う。すこしサービスし過ぎて問題にもなりかけたが、結果的にいい方向に転がったと思う。

仕事ってなんだろう。僕はフルコミットできるか、もしくは割り切るかの2択だと思っていた。けれども実際は第3の選択肢もあるみたいだ。すべてをフルコミットする。そんなことは無理だと思っていたが、環境によっては可能だったというわけだ。

とはいえ、正直に言うと写真にもっと力を注ぎたい。この生活を続けて行けば、おそらく『僕の思う最高の1枚』には出会えないだろう。せっかく撮影スタンスも固まってきたところだ。そう思ったから身近なところでも撮ってみたのである。

冬の単線鉄道を撮ってみた。すこし森山大道さんを意識してみる。同じ被写体でマイケルケンナさんを意識してみた。だが、ちゃんと僕の写真になっていた。

風呂場に溜まっていた入浴剤の空き袋も撮ってみた。足拭きタオルもだ。両方とも最高だった。自宅アパートの隣にある公園も撮ってみた。積雪は40cm以上ある。足跡はとても美しかった。

今は豪雪の季節だからしょうがない。けれども春になったらどうだろう。それでも仕事にフルコミットしながらも、写真を撮れるのだろうか。他の楽しいこともやれるんだろうか。僕も30代半ばに差し掛かった。体力の衰えも感じる。

仕事ってなんだろう。やはり何かを我慢しなければいけないのだろうか。春が怖いのである。

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