哲学とお花畑【ショートショート#37】
「すべてには、意味があるのよ」
お花畑が言った。
「意味なんてねえよ!」
厨二が吐き捨てた。
「どっちでもいいよ」
ナルシシストが呟いた。
「ナルシシストって『シ』がダブってるよ」
お花畑が言った。
「君はなにも知らないね。こっちの方が正確な言い方なんだ」
ナルシシストが鼻で笑った。
「そんな細かいことにこだわっても、どうせ、みんな死ぬんだから」
ニヒリストが横槍を入れてきた。
「お前ら、ほんとくだらねえ」
厨二が唾を吐いた。
「くだらないことなんてない! ナルシストくんは大切なことを言ってくれてるのよ! よく『神は細部に宿る』って言うじゃない」
お花畑は情熱のバラのように語った。
「僕はナルシシストだ。シが二つだ」
ナルシシストが呆れて言った。
「神は細部に宿るって、それ、使い方あってるのか?」
厨二が言った。
「さあね。なんか美しいから好きだな」
ナルシシストが空を見上げて言った。
「こんなくだらない話をしてる間も、オレたちは死に近づいている」
ニヒリストが深淵を見つめながら言った。
「こんな哲学的な話ができるなんて、とても素敵だと思うわ」
お花畑の目はお花だった。