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古代メソポタミア神話における嵐の神、エンリル

古代メソポタミア文明において、エンリルは風、大気、地球、嵐を司る至高の神として崇められていました。シュメール、アッカド、バビロニア、アッシリア、フリュギアなど、メソポタミア地域の広範囲にわたる文化でその信仰は根強く、神話の重要な柱として位置づけられていました。


風の主人、エンリルの誕生と役割

エンリルという名前は、シュメール語で「EN(主人)」と「LIL(風)」を組み合わせたもので、「風の主人」や「嵐の主人」を意味します。シュメールのパンテオンにおいて当初は主神として君臨し、その後もメソポタミアの様々な文化で重要な地位を占め続けました。

神話の中では、エンリルは天と地を分離し、人間が住める世界を創造したとされています。また、大洪水神話においても重要な役割を果たし、人間の騒がしさに怒って大洪水を起こしたと伝えられています。エンリルとニンリルの神話では、エンリルが様々な姿に変身してニンリルを誘惑し、月神ナンナや冥界の神ネルガルなどを生んだという物語も残されています。

ニップル神殿とエンリルの崇拝

エンリルを祀る中心的な神殿は、ニップル市にあるエクル神殿でした。この神殿は天と地を結ぶ「係留ロープ」と考えられ、エンリル自身が建てたと信じられていました。エンリルは非常に畏敬の念を抱かれる神であり、その姿を直接見た者はほとんどいなかったと言われています。

短気な神、エンリルの性格と象徴

エンリルは短気で激情家であり、人間や他の神々に対しても厳しい態度を取ることもありました。しかし、彼の力は破壊的な側面を持ちながらも、同時に秩序を維持するためのものとして捉えられていました。エンリルはまた、農業の神としても崇められ、マトック(鍬)の発明者とされています。

エンリルの家族と系譜

エンリルは天空神アヌと地母神キの子供であり、配偶神は穀物神ニンリルです。彼らの間には月神ナンナ、冥界の神ネルガル、治癒神ニンアズなどの子供が生まれました。エンリルは、運命の板を巡るアンズーの物語やルガレの物語など、様々な神話に登場し、その存在感は非常に大きかったと言えるでしょう。

まとめ

エンリルは、古代メソポタミアの神話において中心的な役割を果たし、その影響は後の文化にも及ぼされました。ニップルの衰退とともにエンリルの崇拝は減少しましたが、メソポタミアの神々の中で重要な位置を占め続けました。嵐の神として恐れられながらも、同時に創造と秩序の象徴として人々に崇められたエンリルは、古代メソポタミア文明の信仰体系を理解する上で欠かせない存在です。

【免責事項】 本記事の内容は、あくまで一般的な情報であり、正確性を保証するものではありません。

参考サイト

(1) エンリル - Wikipedia. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%AB.

(2) Enlil - Wikipedia. https://en.wikipedia.org/wiki/Enlil.

(3) Enlil - New World Encyclopedia. https://www.newworldencyclopedia.org/entry/Enlil.

(4) Enlil - World History Encyclopedia. https://www.worldhistory.org/Enlil/.


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皆守たもこ
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