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世界史まとめ

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ムンディ先生の世界史授業メモをまとめてます
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#旧石器時代

アーレンスブルク文化:氷河期の北ヨーロッパを生き抜いた狩人の物語

アーレンスブルク文化:氷河期の北ヨーロッパを生き抜いた狩人の物語

氷河が後退し、新たな世界が開けた約12,900年から11,700年前、地球は最後の氷河期から徐々に回復しつつありました。北ヨーロッパでは、巨大な氷河が後退し、その跡には広大なツンドラが広がっていました。厳しい寒さと厳しい自然環境の中で、人々はどのように生きていたのでしょうか?

アーレンスブルク文化の誕生この時代、北中欧にはアーレンスブルク文化と呼ばれる独特の文化が栄えていました。ドイツのシュレー

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スウィデリアン文化:氷河期の終わりに栄えた狩人の物語

スウィデリアン文化:氷河期の終わりに栄えた狩人の物語

氷河期の終わり、新たな文化の誕生約1万1000年前から8200年前、ヨーロッパは氷河期から徐々に回復しつつありました。その過渡期、現在のポーランドを中心に独自の文化を築いた人々がいました。それが、スウィデリアン文化です。

スウィデリアン文化は、氷河が後退した後の砂丘地帯を舞台に、狩猟採集の生活を送っていました。彼らの名前は、ポーランドのヴィスワ川の支流であるスヴィデル川近くのオトヴォツクにあるシ

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ハンブルク文化:氷河期の北西ヨーロッパを彩った狩人の物語

ハンブルク文化:氷河期の北西ヨーロッパを彩った狩人の物語

北海の厳しい冬を生き抜いた人々今から1万5,500年〜1万3,100年前、地球は最終氷期と呼ばれる寒冷な時代を迎えていました。そんな厳しい環境下で、北西ヨーロッパには「ハンブルク文化」と呼ばれる独自の文化が花開きました。

トナカイを追って移動する生活ハンブルク文化の人々は、主にトナカイを狩猟することで生活を支えていました。ドイツのハンブルク周辺をはじめ、デンマーク、ポーランド、フランス北部など、

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パヴロヴィアン文化:氷河期の芸術と技術が花開いた世界

パヴロヴィアン文化:氷河期の芸術と技術が花開いた世界

氷河期のマンモスハンターたち約29,000年から25,000年前、地球は氷河期という厳しい時代を迎えていました。そんな中、現在のチェコ共和国、オーストリア北部、ポーランド南部に、独自の文化を築き上げた人々がいました。それが、パヴロヴィアン文化です。

パヴロヴィアン文化は、グラヴェット文化の一変種として知られており、その名前はチェコのモラヴィア地方にあるパヴロフ村に由来しています。1952年に考古

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セレティアン文化:氷河期のヨーロッパを彩った謎めいた石器文化

セレティアン文化:氷河期のヨーロッパを彩った謎めいた石器文化

時空を超えて、太古の物語を紐解く皆さん、こんにちは!今回は、太古のヨーロッパに生きた人々の文化、セレティアン文化について深掘りしていきましょう。

セレティアン文化は、今から約44,000年前から40,000年前、氷河期と呼ばれる厳しい時代の中央ヨーロッパで栄えた石器文化です。この時代は、ネアンデルタール人と現生人類が共に暮らしていた、いわば人類史における過渡期にあたる興味深い時代なのです。

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マドレーヌ文化の世界へようこそ!氷河期の芸術と技術が織りなす物語

マドレーヌ文化の世界へようこそ!氷河期の芸術と技術が織りなす物語

人類の歴史を紐解く、氷河期の芸術と技術皆さん、こんにちは。今回は、太古の昔から人類が歩んできた歴史の1ページを、皆さんと一緒に紐解いていきたいと思います。テーマは「マドレーヌ文化」です。

マドレーヌ文化とは、今から約1万7000年前から1万2000年前の、ヨーロッパ後期旧石器時代を代表する文化の一つ。フランス南西部のドルドーニュ地方にあるマドレーヌ岩陰遺跡にちなんで名付けられました。この時代は、

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ソリュートレ文化:氷河期の芸術と技術の最高峰

ソリュートレ文化:氷河期の芸術と技術の最高峰

ソリュートレ文化とは、今から約2万年前に栄えた、後期旧石器時代を代表する文化の一つです。特に、フランスのソリュートレ遺跡が有名で、この文化の名前にその名が冠されています。

地理的広がりと起源ソリュートレ文化は、フランスのロアール川からピレネー山脈にかけて広がり、スペイン、ドイツ、オーストリア、ポーランド、ハンガリーなど、ヨーロッパ各地にその影響が見られます。この文化の起源については諸説ありますが

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氷河期の芸術家たち:グラヴェット文化の世界

氷河期の芸術家たち:グラヴェット文化の世界

マンモスを狩り、ヴィーナス像を彫った人々約3万3000年前から2万2000年前、地球は氷河期という厳しい時代を迎えていました。そんな極寒の世界で、独自の文化を築き上げた人々がいました。それが、グラヴェット文化です。

氷河期のサバイバル術グラヴェット人たちは、氷河に覆われたヨーロッパで、マンモスやトナカイといった大型動物を狩って生活していました。チェコのプシェドモスティ遺跡からは、マンモスの骨でで

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オーリニャック文化:人類が芸術と技術を開花させた時代

オーリニャック文化:人類が芸術と技術を開花させた時代

約4万年前から3万年前にかけて、ヨーロッパを中心に栄えたオーリニャック文化。 この時代の人々は、石器の製作技術を飛躍的に発展させ、同時に芸術的な表現も豊かに開花させました。その名も、フランスのピレネー地方にあるオーリニャック洞窟で初めて発見されたことから名付けられました。

石器技術の革新:ブレード技法の登場オーリニャック文化最大の特徴は、なんといっても石器の製作技術にあります。特に「ブレード技法

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シャテルペロン文化:ネアンデルタール人の高度な技術と文化

シャテルペロン文化:ネアンデルタール人の高度な技術と文化

西ヨーロッパに花開いた、謎多き文化シャテルペロン文化は、約3.6万年前から3.2万年前に西ヨーロッパで栄えた、後期旧石器時代初期の文化です。フランスのアリエ県にあるシャテルペロン洞窟にちなんで名付けられ、ネアンデルタール人が担っていたと考えられています。この文化は、ムスティエ文化とオーリニャック文化の間に位置し、両者の技術を融合させた特徴を持っています。

石刃技術と特徴的な石器シャテルペロン文化

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ザグロス山脈に花開いた石器文化:バラドスティアン文化

ザグロス山脈に花開いた石器文化:バラドスティアン文化

人類の歴史を紐解く、忘れられたピースイラクとイランの国境地帯、雄大なザグロス山脈。この地に、人類の歴史を語る上で欠かせない、興味深い文化が存在していたことをご存知でしょうか?それが、バラドスティアン文化です。

氷河期を生き抜いた技術と芸術バラドスティアン文化は、今から約3万6千年前から1万8千年前という遥か昔、後期旧石器時代に栄えていました。ムステリアン文化の後を継ぎ、独自の文化を築き上げたこの

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ジェベル・イルード:人類進化の謎を解く、モロッコの古代遺跡

ジェベル・イルード:人類進化の謎を解く、モロッコの古代遺跡

偶然の発見から始まった壮大な物語アフリカ大陸、モロッコのサフィから南東へ約50kmの地に、人類の歴史を大きく書き換えた重要な遺跡があります。それが、ジェベル・イルードです。1961年、鉱夫たちがバリテを採掘中に偶然発見したこの遺跡は、その後、数多くの古人類学者を魅了し、人類の起源を探る上で欠かせない場所となりました。

ホモ・サピエンスのルーツを探るジェベル・イルードの最大の魅力は、何と言っても初

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ルヴァロワ技法:人類の知恵が花開いた石器製作の革命

ルヴァロワ技法:人類の知恵が花開いた石器製作の革命

太古の昔、人類は石を叩き割って鋭い刃を作り出し、生活を豊かにしてきました。その中でも、ルヴァロワ技法は石器製作の歴史において革命的な技術として知られています。今回は、この高度な技術がどのように誕生し、人類にどのような影響を与えたのかを詳しく解説していきます。

ルヴァロワ技法とは?ルヴァロワ技法は、中期旧石器時代に発展した石器製作技術です。この技法の最大の特徴は、石核(石器の原料となる石)を事前に

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アテリアン文化:柄付き石器と高度な技術が特徴の中期旧石器時代文化

アテリアン文化:柄付き石器と高度な技術が特徴の中期旧石器時代文化

北アフリカを舞台に、約15万年前から2万年前まで栄えたアテリアン文化。この文化は、柄付き石器という革新的な道具を生み出したことで知られています。槍や矢の先端に取り付けられたこの石器は、狩猟や戦闘において大きなアドバンテージをもたらしたでしょう。

多彩な石器と高度な技術アテリアン文化の人々は、両面加工された葉状の石器や、ルヴァロワ技法と呼ばれる高度な石器製作技術も駆使していました。特に、圧力剥離技

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