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マネジメントは対機説法

「マネジメントに正解はない」とは使い古された言葉だ。
僕は、これまでマネジメントにおいて、大なり小なり、多種多様の失敗をしてきた。

例えば、同じ言葉を話しても、相手によって180度受け取り方が変わる。

「こういう視点で見てみると、新しい発見があるかもしれないよ」と話すと、一人は「なるほど、そんな見方もあるんですね。早速、その視点で分析してみます!」と言って、数日後にその結果を持ってきてくれる。かと思えば、もう一人は「余計な指摘をされた。理不尽だ。そうやって私を苦しめるあいつは死ねば良い。」と陰口を言う。後日、その陰口は僕の耳に入る。

前者は順調に成長し、素晴らしいビジネスパーソンになる。後者はいつまで経っても成長せず、組織のお荷物になってしまう。

という、単純な話ではない。

確かに、後者の部下に問題があるのは確かなのだが、上司である僕にも不足点があるのだ。

後者の部下をKさんとしよう。
Kさんは上司からのアドバイスやフィードバックを受け入れるだけの度量がないのだ。また、受けたアドバイスやフィードバックを生かして、より良い仕事をするスキルがない。
それなのに、僕は良かれと思ってアドバイスをしてしまう。
だから陰口を叩かれる。そして、Kさんは腐っていく。誰も幸せにならない負のループだ。

Kさんのスキルやマインドなどを見極めて、そのレベルにあった業務を任せるなり、アドバイスをしないといけないのだ。
マネジメントに正解はない。ただ、自分自身で正解を作らないといけない。
杓子定規な対応では正解は作れない。
つまり、相手によって話す内容、表現、表情など、すべて変えないといけないのだ。
対機説法でなければマネジメントはできない。

相手のことを深く理解し、その場その場で、相手に合わせて言葉をかける。
それができる人が良い上司なのだろう。

残念ながら、僕はそことは程遠い。死ぬまで修行なのだ。

一つ注意が必要なのが、対機説法でマネジメントをすると、相手により話すことが変わるため、周りから見ると矛盾しているように見えることだ。
そういう意味では、マネジメントの本質は、「矛盾のマネジメント」なのだ。
そのため、優秀なマネージャーほど、周りから矛盾していると誤解され陰口を叩かれる。
「下段者、上段者の力が分からず」とは、そういうことだ。

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