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『魂の光』解説年間講座 第8回レポート(後編)

今日は『魂の光』解説年間講座 第8回のレポート後編です。

前編ではサンヤマ(集中→瞑想→観照)について説明しました。
今日はサンヤマのプロセスのおさらいと、サンヤマ達成後に獲得する能力(シッディ)についての説明です。


サンヤマのプロセス

まずサンヤマのおさらいは、伊藤武さん著『図説ヨーガ・スートラ』での表現を借りようと思います。

伊藤さんはサンヤマの流れを映画のフィルムになぞらえて説明しています。

仏教ではこの世のあらゆるものは無常(時の流れの中で生まれ、変化し、滅んでゆく)であるとされていて、あらゆるものはクシャナ(インドの時間の最小単位で、約1/75秒。)の間だけ存在すると言われています。
すべてはクシャナ(刹那)ごとに生じ・変じ・滅する、その連続です。

上の図を見てください。映画の1コマが1刹那だとします。
雲のような形状のものが雑念サンスカーラ、おたまじゃくしのような形状のものが制御サンスカーラです。

サンスカーラとは、心の活動の物質的な痕跡、あるいは未来を作り出す種子のようなもので心の活動の素となるものです。

「心の活動が静止」するということは、この刹那(1コマ)ごとの制御のサンスカーラが活性化するということです。

上図の一番左の列のフィルムはダラーナ(集中)の過程を表しています。
コマの上の方ではまだ雑念サンスカーラが多いですが、コマが進むにつれて制御サンスカーラが増えていきます。

真ん中の列がディヤーナ(瞑想)の状態を表しています。
もう雑念サンスカーラは存在していませんね。雑念の映ったコマはもう過去のものとなり、現在は制御のコマが映されています。

右の列はサマーディ(観照)の状態を表しています。
ディヤーナの状態と似ていますが、よく見ると、連続するコマの絵が全部同じです。映画でいえば静止画像になっていて、心が完全に停止した状態になっています。

ビジュアル化してみると解りやすいですね!

瞑想の対象

サンヤマのプロセスは3つありましたが、その過程での瞑想の対象も3段階あります。3様相ですね。

瞑想は、対象と心がぴったり重なることで起こる集中状態から始まります。瞑想する対象は物です。物は変わり続けます。変わり続ける物を心が映すたびに、心も変化します。

瞑想の対象(ダルミー)は下記の3つの側面での変化があります。
 ①状態という特徴を持つ物(音や形や色など状態や特徴がある)
 ②場所という特徴を持つ物(定めるべき1つのポイントがある)
 ③時間という特徴を持つ物(現在・過去・未来という時間の流れがある)

そしてこの3つの様相は時間的条件の3つの側面も網羅してます。
①は過去、②は現在、③は未来です。
したがって、この3つの段階の瞑想を正確に行うならば、すべての知識を手に入れることができ、「永遠なる今」が自然界の認識された事実になり、進化計画との知的な協力が可能になる、のだそうです。


音(つまり言葉)、それが表すもの(つまり対象)、体現された霊的本質(つまりアイディア)の3つは通常、知覚者のマインドの中で混同されている。この3つの様相への集中した瞑想によって、あらゆる生命形態が発する音についての(直観的な)理解が生じる。

これは第3の書の17番目のスートラで、『魂の光』では「これはこの書で最も重要なスートラの一つである」とされているので長いですが全文書いてみました。
3つの様相は、スートラ内での順番が少し違うので混乱してしまいますが、下記ですね。
 第1様相:体現された霊的本質(つまりアイディア)
 第2様相:音(つまり言葉)
 第3様相:それが表すもの(つまり対象)

通常の人間のマインドではこの3つの様相が混同されていて、第3様相の外的かつ客観的なものが通常はリアリティーだとみなされています。これは大いなるマーヤ、イリュージョン(錯覚)なのです。
知覚者が、自分自身の形態も含めて、すべての形態における3つの様相を識別できるようになったときに初めて、これ(錯覚)を消散できるようになります。


AUMとサイキック能力

まず修得しなければならない知識領域は第二様相で、すべての形態を顕現へともたらした音つまり言葉に到達しなければなりません。

この音とは聖語アウム(AUM)のことです。最初に息、それから言葉、そして存在するすべてのものが現れたとされています。

ひとたびその声を聞き、行うべきことを行ったとき、意識領域が明らかになり、自分自身の性質の第2様相と連結し、あらゆる形態の第2様相と連結します。

それにより人間は自分自身の魂つまりサイキとすべての聖なる生命形態に宿るサイキを知ることができるようになります。これがサイキズムの科学全体の基礎になるものとのことです。


低位サイキック能力と高位サイキック能力

サイキック能力には低位と高位があります。

低位サイキック能力があると、メンタル体とエーテル体をつなぐアストラル体に接触していることになり、物質原子の魂と繋がることができます。

高位サイキック能力があるならば、モナドとパーソナリティ、霊と体をつなぐ媒介である魂と連結していることになり、あらゆる王国の魂とつながることができるようになります。
この状態になると、自分も他人も動物も植物も神も一体なので、相手のことがわかるようになるということです。

動物の声が聞こえるようになると楽しそうですよね。
仲良しの犬がいるので、おしゃべりしたいです。
(まあ、そんな低位な目的のために得た能力じゃないでしょうがね。)

次回からはサンヤマ達成後に取得できる能力について、さらに見ていきます。
能力を得てもそれに固執しない利欲の能力もまた必要になってくるらしいですが。

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