【雑記】食について、ちょっくら考えてみた
食とは何か
僕たち栄養士が食を語るとき、エネルギーやたんぱく質など食べ物の栄養素を見る場合がある。体にはこれが必要だから食べましょう。でも、これは食べすぎだからちょっと控えてね。と。しかし、これらは食を語る上での一つの視点でしかなく、栄養素という考え方は、良くない言い方をすると、栄養補給という行為と似ていてどこか効率的かつ合理的で、危険な臭いも少しある。
もちろん、これは、皆さんが気付いていることだと思う。
数年前、一日に必要な栄養素が入ったパスタが売り出された。この時に、食というものは、栄養素だけではないということを身に染みて感じたと思う。必要な栄養素を確保しながらも、人間としての文化的な食を保証していくことが、栄養士たるものだと。
例えば、栄養を補給するためにウナギは必要ない。一年に一度、ウナギに含まれる栄養素を摂取しなければ健康を害する。なんてことは無いからだ。しかし、土用の丑の日には食べたくなるもので、給食に出したくもなる。もちろん、僕が食べている風呂上がりのアイスも、栄養素的にはまったく必要ない。むしろ過剰だ。しかし、僕が僕であるためには、必要な食べ物だと確信している。
このように、食は人間が人間であるためのものとして、単なる食欲を満たすことや体に必要な栄養素を補給することだけではなく、文化的な豊かさが必要不可欠な要素になっていると思う。
献立を考えるにしても、栄養素だけでなく一汁三菜などの組み合わせや、旬を盛り込んだ内容であったり、旬の食材は近くの農家さんから仕入れようと考えたり、ここの地域は夏に必ずずんだ餅を食べるから、献立に入れなくちゃ、などその土地の郷土料理、食文化があったりする。
食は人間を作る土台でありながらも、その文化的な営みの中に存在し、日々のエネルギー源になるものであるがゆえに、簡単には結論付けることができないことである。
皆さんは食をどう考える?