2024・9・16
西新宿のとある路地。
僕を挟んで
左に、「やよい軒」
右に、長崎ちゃんぽん/中華料理「まるしん」
面白そうなので「まるしん」に入ってみた。
店内では、白髪のおじいちゃんが3人(推定70歳以上)。
ゆっくり忙しく働いている。
ホールで料理を運ぶおじいちゃんが1人。
厨房に、店長らしきおじいちゃんと、最年長っぽいおじいちゃんの2人。
初めてなので作法が分からず。
ホールおじいちゃんに、”1人です”と伝えるために、人差し指を立てて見せる。
無視される。
あれ?
再度目が合ったので、もう一度、人差し指を立てて見せる。
今度は、”お好きな席にどうぞ〜”的なリアクションをしてくれたので、カウンター席に座った。
ホールおじいちゃんは、耳が不自由なのかしら?と、頭をよぎる。
メニューは多い。
そして安くはない。
ちゃんぽんとチャーハンで1100円くらい、という感じ。
一通り悩んで、生姜焼き定食900円に決めた。
どうやって注文したらいいのかな?、と、あたりを見渡す。
厨房の最年長おじいちゃんと目があったので、「生姜焼き定食」と伝える。
「生姜焼き定〜」と最年長おじいちゃん。
注文は普通に通った。
ほどなくして、生姜焼きのみ、が出てきた。
あれ?ご飯は?
ご飯はセルフ?
そういえば、お冷もないけど、それもセルフ?
と、周りを見渡すが、炊飯器らしきものも、水を汲むっぽいものもない。
と思っていたら、最年長おじいちゃんが、ご飯とスープをカウンター腰に出してくれた。
そういう作法なのね。と受け取る。
お冷は?
生姜焼きの味は、ご飯が進む濃い味で美味い。
ご飯も硬めで、僕の好み。
スープは薄かった。
しばらくして、背中越しに「すみませ〜ん」という声が。
テーブル席のお客さんが注文をしたいらしい。
だが、おじいちゃん、誰も反応しない。
再び「すみませ〜ん」の声。
再び反応なし
みたび「すみませ〜ん」の声。
店長おじいちゃんが、「ちゅうも〜ん!」というと。
ホールおじいちゃんが「はいよ〜!」と言った。
はいよ〜、と言うだけで注文を取りに行かない、ホールおじいちゃん。
「注文いいですか〜?」とお客さん。
「はい!そこでどうぞ〜!」とホールおじいちゃん。
そういう作法なのね、と僕。
「チャーハン大盛りと麻婆豆腐」とお客さん。
「チャーハンと麻婆豆腐ね!」とホールおじいちゃん。
・・・・
「あ。あと、辛口ちゃんぽん」とお客さん。
「はい!あと、辛口ちゃんぽんね!」とホールおじいちゃん。
・・・・
「あ・・あと、餃子も・・」とお客さん。
「はい!あと餃子も!」とホールおじいちゃん。
頼みづらそうだな、と僕。
「辛口ちゃんぽんと、あとなんつった?」と店長おじいちゃん。
無言で餃子を焼き始める、最年長おじいちゃん。
「あ、餃子か」と店長おじいちゃん。
ホールのおじいちゃん、耳が聞こえない訳じゃないのか。
耳が聞こえないのかと思ったことに罪悪感を感じる僕。
生姜焼き定食(添えられたマヨネーズ以外全部)を、美味しく完食し、席を立つ僕。
その瞬間。
「お勘定!900円ね!」と店長おじいちゃん。
「お勘定900円だって」とホールおじいちゃん。
「あってますよ(笑)」と、1000円札を渡す僕。
「俺は知らねーからさー」と、100円玉を返すホールおじいちゃん。
「ごちそうさまでした〜」と、僕。
「ありがとうございました〜」と、ホールおじいちゃんと、店長おじいちゃん。
このやり取りって、たぶん一般的には、とても不便なやり取りなんだと思う。
だから、お客さんに便利に使ってもらおうってことで、改善していく動きになっていくやり取りだったと思う。
実際、左のやよい軒に入っていたら。
食券買って、店員さんに渡して、料理が出てきて、美味しくいただいて、退店して終わり。
とてもスムーズに、便利に、美味しいご飯が食べられる。
しかも多分、「まるしん」より安い。
とっても良いことだと思う。
(やよい軒の生姜焼き定食には、マヨネーズはついているのかしら)
けど、僕はこのやり取りに、やり取りの中で自分が「あってますよ(笑)」と笑顔で参加していることに、楽しみを感じた。
最初は作法が分からず、アワアワした。
最後までお冷は出てこなかったし、お冷やくださいということも出来なかったし。
(マヨネーズを残したことは関係ない)
でも、なんか楽しかった。
このやり取りが全くない世界は、便利だけど少しさみしいな〜。
なんてことを思ったのでした。
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