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初期消火と避難

 前回の記事「消防用設備点検の作業員がやって来た!」に引き続き、火災に関連したお話をお届けします。前回記事はこちら↓

 今回は、もし火が出てしまったらどうすればいいのか、対処の仕方を確認したいと思います。

1.消火器の使い方

 前回の記事では火災をお知らせしてくれる設備や避難を助けてくれる設備を紹介しましたが、これらの力を発揮する前に私たちが勇気を出してすべきことがあります。それは初期消火です。初期消火が成功すれば多くの人命が救われます。

 そこで、身近な消火設備である消火器の使い方と、初期消火のやり方を確認します。福岡市消防局から、テンポ良くわかりやすい動画がアップされていたのでこちらにシェアさせていただきます!

動画の要点まとめ

※消火器の使い方 
 本体のピンを抜く→
 ノズルを燃えている物に向け構える→
 レバーを押す

※対象物から3〜6メートル離れて噴射可能

※噴射可能時間は約15秒

※炎が天井に届いてしまったら諦めて逃げる

 本編中でも言われていたように、消火器の体験は地域の防災センターなどで行うことができます。このご時世で人数制限があったり予約制となっている場合も多いので、興味のある方は事前にチェックして足を運んでみてください。

 偉そうに紹介している私ですが、体験も含めて消火器を使ったことがありません。使ったことがないものを非常時に使いこなせるわけがないでしょうから、一度しっかり体験コーナーで教えてもらって来なければなあという気持ちでいます。その際は、こちらのnoteのサイトでもレポートしていこうと思っています!


2.初期消火で救われた命

 さて、先ほどの動画に出てきたような鍋からの発火。私の身近な人で、実際にそのような状況に直面して初期消火を行ったことがあるという女性がいます。

 
 ある日、その人が当時住んでいたアパートの隣の部屋から、突然火事を知らせる声があったといいます。まだ歩けない小さな子どもがいましたが、助けを求められたので子どもを家の中に置いたまま隣の様子を見に行きました。

 すると、玄関付近のコンロで調理中だった中華鍋から炎が出ていたそうです。とっさに思い立ち、近くにあったタオルを水で濡らして硬く絞り、鍋を覆うように炎の上からパサッとそのタオルを掛けました。

 そのおかげで火は消し止められ、怪我人はなく大きな火災に発展することもありませんでした。

 この勇気ある初期消火を行った人物、実は私の母です。嘘のような本当の話ですが、家の中にいた子どもは私でした。

 その時のことを母に聞いてみると、とにかく当時の知識でとっさにとった行動だったといいます。消火器の使い方もよく知らなかったそうで、使い方を読んでいる時間はないと判断し、硬く絞った濡れタオルで消火に成功しました。

 福岡市消防局の動画では鍋の蓋で行っていましたが、素手で鍋の中の酸素を遮断するのは熱くて危ないことです。でも、よく行動してくれたなあと母の行動にはとても感謝しています。もし初期消火に失敗していたら、私は最悪の場合火災に巻き込まれていたかもしれなかったので。

 この話で教訓としたいのは、安全に初期消火をするためにも消火器の使い方を事前に知っておくことが大事ということと、初期消火の行動をとる勇気が多くの命を助ける第一歩になるということです。消火器の場所がわからなくて時間のロスになるのも避けたいところですので、せめてどこにあるかは日頃からチェックしておきたいですね。


3.避難の際の注意点

 火災時の避難では、どのようなことに注意するべきなのでしょうか。火災で一番気をつけなければならないのが煙を吸わないことです。

 総務省消防庁によれば、建物火災での二大死因は「一酸化炭素中毒・窒息」と「やけど」だそうです。火災の煙の成分には一酸化炭素や青酸ガスなどの有毒ガスがありますが、特に一酸化炭素は、体内に吸収されると血液中のヘモグロビンと結合して一酸化炭素ヘモグロビンというものを形成する性質を持っています。すると、酸素を運ぶ役割であったはずのもともとのヘモグロビンの量が少なくなり、体内への酸素の供給が十分にできなくなってしまいます。煙を吸うことで有毒ガスの中毒や酸欠状態に陥ることにつながるため、なるべく煙を吸わないように逃げる必要があります。

 ハンカチなどで口と鼻を覆い、姿勢を低くして逃げるというのは皆さんもよくご存知だと思います。火災の煙は上の方から充満していくので、姿勢は低く保つ、そしてオフィスや学校などで排煙窓や排煙設備のボタンがあれば作動させて煙を逃してください。防火扉を閉めて煙を遮断することも、上階の人の避難をスムーズに行うという点においても有効です。


4.火の始末を忘れずに

 2回にわたりお伝えしてきた火災関連の防災のお話でしたが、日常生活では消火器や避難設備、避難の知識も結局使わなかったというのが一番です。

 火の始末はしっかり確認する、キッチンのコンロ付近には燃える物を置かない、調理中は鍋から目を離さないといったことは引き続き実践していきましょう。

 また、先月末から今月初めにかけて続いた栃木県足利市の山林火災も記憶に新しいですが、出火原因ははっきりと分かっていないもののタバコだという見方がありました(2021年3月30日、足利市は出火原因はタバコと推定されると発表しました)。小さな火でも乾燥した空気の下ではすぐに燃え広がり、風に乗って飛び火して大きな被害をもたらしますので、タバコのポイ捨てにも注意が必要です。

 まずは一人一人のちょっとした心がけで火災を防いでいきましょう。


※次回は【備蓄について】の記事を予定しています

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