防災noteスタートによせて

 はじめまして、防災士のTaMiiです。「防災」という言葉から皆さんはどのようなことをイメージしますか?食糧や水の備蓄、家具の固定、避難訓練への参加 etc... もしもの時に備えるために、今できることは何か。このnoteへの投稿を通じて考えていきたいと思っています。

 この書き物を始めるにあたり、少し自分のことをお話しさせてください。私は生まれてから高校卒業までの18年間を静岡県沼津市で過ごしました。一昔前は南海トラフ地震の想定震源域の東側に位置する東海地震の発生が危ぶまれており、大きな被害が想定された静岡県では国をあげて対策が進められていました。地震が高い確率で起こることに加え富士山噴火の可能性も重なってか、私が生まれる以前から防災意識が他の地域よりも高かったようです。

 実際、私が子ども時代だった1990年代〜2000年代前半にかけてのことでいっても、地震や噴火を念頭にした情報や教育に触れる機会が多くありました。例えば、NHKのローカルニュースでは直近の地震活動をまとめた情報が定期的に放送されていたり、学校の椅子には一人一つずつ防災頭巾をひっかけておいたり、子どもの絵のコンクールに防災というテーマで描くものがあったり。家庭では、両親が乾パンや10リットルの水をタンクに入れて備蓄していたこともしっかりと覚えています(今思えばこれだけの備蓄では足りないです・・・)。これが当たり前の環境で育ったためか、無意識にも防災意識だけは埋め込まれていったわけです。

 さて、幸いにして東海地震は起こることなく高校卒業を迎え、故郷を離れた私が当時思ったのはこんなことでした。「東京は東海地震の危険もないししばらく地震は大丈夫だろう。まさか東京にいる間に地震にはあわないだろう。」 これは、まだ東日本大震災が起こる前のことです。その時の私は、東海地震以外の大きな地震の可能性をほとんど考えていませんでした。東京に住む分にはそれほど力を入れて防災対策はしなくていい。そんな風に思ってしまったのです。

 そして大学3年の時に東日本大震災が発生しました。発生時は東京神田のビルの地下でサークル活動中でした。船酔いするような揺れの中、地下に閉じ込められたらどうしようという恐怖が最初に頭をよぎり、部屋の扉を開けてフラつきながら階段を上がって1階へ。すると1階にあったガラス張りのレストランのシャンデリアが大きく揺れていて、割れる前に外に出なければと急いで外に出ると信号機や他のガラス張りのビルが大きく揺れ、自分のいたビルの上からはビルの壁の一部と思われる小さなかけらが落ちてくるのを目の当たりにしました。必死に逃げていたものの振り返ればとても危ない避難の仕方だと思います。

 電車が止まり、その日は都内に実家のあるサークル仲間のご家族が車で神田へ来てくれて、家に泊めてもらうことができたので本当にラッキーでした。しかしその時見たものは、動かない車列、その横を歩いて帰宅する人の長い列、途中で立ち寄ったコンビニの空っぽの棚・・・混乱した世界でした。翌日、コンタクトの予備もメガネもない私は、ド近眼の状態で大幅に間引かれた電車に乗ってなんとか帰路へ。東京にいても地震が起こる。いや、全国どこにいても地震に遭遇する可能性がある。東日本大震災以降、南海トラフ地震や首都直下地震、全国各地の未知の断層による巨大地震が起こり得ることが多くの人に知られるようになったと思いますが、そもそも、ここにいれば安全だなんていう場所は存在しないと気付かされたのが東日本大震災でした。さらに、日常的になくてはならないものを備えたり携帯する必要があることも身にしみて感じたことでした。

 その後、社会人になって一人暮らしを始めた家で防災グッズが一式入った防災リュックを購入しました。この頃からやっと防災を自分ごととして考えて、備えることを実践するようになりました。しかし、周りの人に防災の話をしても温度差があって、当時の彼(今の夫)でさえ防災グッズを揃える私にここまでする必要があるのか聞いてくるのです。もしかしたら自分の周りの人を災害から守るためには、まずは自分が「備える大切さ」を伝えていく必要があるのかもしれない。だんだんとそう思うようになりました。

 そして、ある日なんとなくつけていたテレビから具体的な防災アドバイスが流れてきました。そのお話をされていた方が防災士だったということがきっかけで、防災士に興味を持ち、2020年冬に防災士講座を受講して防災士の取得に至ります。

 この投稿を書いているのは2021年3月10日で、東日本大震災から10年のタイミングです。震災の記憶を伝えるテレビでは、当時の津波の様子や生き残った方々の体験が多く報道されています。私にはそのような経験はないし、津波に巻き込まれた方や震災で亡くなった方、遺族の方のことを想うと、自分から防災や災害を語っていいものなのか、投稿を始めることに迷いがあった時期もありました。

 しかし、防災士として私ができることの一つとして、少しでも防災に役立つ情報をここから提供できればいいなと思ってスタートすることにいたしました。災害は地震だけではなく、近年では台風の巨大化やゲリラ豪雨による風水害も身近な災害になっている印象です。地震に連動して火山噴火の危険も昨今話題になっています。備えあれば憂いなしとは良く言いますが、いつか必ず起こるとわかっているならば、自分と自分の大切な人を守るために今からできることを皆さんと考えていきたいと思います。

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