お父さんとジョブズとわたしの人生
今日は父の17回忌だった。58歳の時に亡くなった。食道がんだった。
父は家族のために働くまじめな人だった。リストラで解雇されたあと、タクシードライバーになった。慣れない接客業でストレスが溜まったんだと思う。転職してから数年後に亡くなった。
父はわたしたちにとても優しくしてくれた。けれど父は思いどおりの人生を送れたんだろうか。もっと他の生き方をしたかったんじゃないだろうか。わたしたちの存在が足かせになっていたんじゃないだろうか。
ぼうぼうとお経が響く。お焼香の煙で部屋のなかが白く濁っていく。わたしはぼんやりしてきた頭で父のことを考えた。
スティーブ・ジョブズのことばに「もし今日が人生最後の日なら自分は何をするだろうか?」というものがある。毎朝、鏡に映る自分に問いかけていたらしい。もし「No」が数日続くようなら何かを変える必要があると。
父とジョブズはまったく違う人間だ。けれど2人はわたしに同じことを教えてくれる。自分の思うように生きること。心や直感に従う勇気を持つこと。
父には何もしてあげられなかった。迷惑かけてばかりだった。わたしが父にできることは、わたしの思うように生きることだ。全力で幸せに生きることだ。怖がらず、勇気を持って自分の人生を全うする。
いつか父と会った時に「がんばったよ」と胸を張って言えるように生きていきたい。
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