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独り言


戸惑いながら発された問いにどう答えたものかと考えているのか、少し長い沈黙の後、どこか独り言ちるように話し始めた。


「―――むしろ、思ったことはないんでしょうか。どこにいても間違いのような、自分が消えなくてはいけないような感覚。――どうしてと思われるかもしれませんが、もう当たり前に備わっている、自分の核の近くにある理念みたいなものなんです。僕たちが当たり前に呼吸をするのと同じくらい。とりとめのない考え事の隙間、帰り道に空を見上げた瞬間、ひと段落の深呼吸と一緒に、ときにちょっとした思い付きのように、ときに古びた思考のように。ずっと頭の中にいます。それだけ。――今生きているのは、うーん、死ぬ勇気がなかっただけです。――ああ、それと、母のため。僕、高校の時に学校に行けていなくて。でも大学は何とかいけて…、いつも出席はぎりぎりでしたけど。…僕が不登校になる「ような」人間であることで、母は自分を責めてしまうので。やっと普通にもどれてよかったと、何度も言われます。だから就職したのも母のためかもしれません。もう次、僕がおかしく――母からしてみたら、ですが――なったら、母はもう立ち直れなくなってしまうかもしれないので。………っていうね、ことで!そんなことも思いながら、でも前向きに、本当ですよ、生きてます。ちょっとシリアス過ぎましたかね?まあ、でも、当分は死なないと思うので、今暫く部下として社会に役立たせてください。よろしくお願いします」




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