もう思い出せない無数の言葉を信頼するということ。
中学生の頃、最も仲の良かった女の子は、とても可愛かった。クラスで目立つ派手なタイプではなくて、控えめで知的な女の子だった。それに陸上部のエースで、体育の持久走ではクラスで断トツの成績だったし、引き締まったスタイルは私の憧れだった。だが私が彼女について最も好きだったのは、彼女の書く作文だった。国語の授業ではよく自由作文を書いた。私は当時、歴史小説の感想や普段の違和感の考察みたいな小難しいことを書き連ねて自己満足するような面倒な少女だった。そんな私にとって、病気の家族や震災のこと