めくったように、透明
カレンダーを一枚めくったら、灰色だった空もめくられたように青くなった。
青い空を一日ながめて、風の気持ちよさをのんびり感じて。もったりしていたこころも、薄皮はいでいくようにじんわり軽くなる。今なら何割か増しで、世界が美しくやさしく、目に映るはず。
先月の東京はずっと雨が降っていたらしい。
どうりで! この気持ちの軽さ。
ふんふん。気づいたらはなうたこぼれるくらいに、ごきげん。
まあ単純だこと。
空が青いだけで、こんなにご機嫌。
青の中を雲がもそもそと進んでいく。その姿見ているだけで、わたしもなにか動きたくなる。
積極的に外に出ようか。
本読むのは、今日はやめる。疲れるまで、外を歩こう。そして戻ってきたら、シーツをこころおきなく洗って、外に干そう。おひさまと風の匂いを吸って、きっと今夜はいい気分。
ついでに、ベランダにヨガマットをひいておひるね(夜にそなえる)。
蚊に数か所、やられたようだけれど、それすらたのしい。
はあ。気になっていたこと、やれてすっきり。
雨やくもり空のせいにして、どれほど気持ちを押し込めてきていたんだろう。
自分が思っていること、感じていること。
その全てを、毎回、出せている人ってどれくらいいるんだろう。
これくらい、ちょっとしたことだから……と後回しにしていたり。そっと、黙ってみたり。
ほんの小さなことたちも、積もり積もるとこころの重しになる。
小さな我慢も、ガラスについた傷のようなものかもしれない。すっきり遠くまでみえる透明なガラスについた小さな傷も、よりあつまると曇りガラスになる。外が見えなくなってくる。
曇って遠くが見えなくなるより前に、こまめに手入れをして。すかっと透明な気分でいられるようでありたい。
それより、後回しや小さな我慢をやめるほうが先かな。