来週には「雪」ふるような景色
ビルの間の風が、いつの間にか冷たくなくなっていたから、いつもよりゆっくりと街を歩く。
地上はぼんやり薄曇りの色。
薄曇りの色の中へ向かい、ゆっくりと歩く。
薄曇りの下を歩く、人はゆっくりと。
車はいつものように気忙しく。
ゆっくりと気忙しさが混じり合わないまま、別の世界が重なっているみたいにして、同じ場にある。
それが面白くて。でも、危なっかしくて。
そわそわ、周りを気にしながらわたしも、人のように歩く。
歩いて、歩いて。
いつの間にか、オレンジ色の光。
薄曇りの花も、あたたかに染まる。
また来週。この薄曇りの下を歩こうか。
ざっと風が吹いたなら、次に見るのは花の雪。