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【ゲームを共同制作して思ったこと】

実は私、ゲームのシナリオを書いているんですよ。
『Luminous Re-lien ~小さな騎士の誓い~』という百合SRPGを相方と共同で制作しております。
サークル名は『Yulikis』です。
「名は体を表す」といいますが、やりたいことが明確で素晴らしいネーミング(私が命名した)。

たまやまは「原案・シナリオ」を担当し、相方のcamiが「システム・イラスト」を担当しています。
シナリオは95割ほど書き終わっており、現在はシナリオの微調整やプラスアルファ要素の作成、デバッグ(という名の遊びプレイ)をしている最中です。
 
処女作なのに実働3年かけて40万字(設定集・用語辞典・自作小説などを加えると60万字以上)を超える文章を書けたのは、もはや感動を通り越して人間の神秘を感じます。
書き続ければ、どんな作品でも完成します。
これがワイの自己啓発の結晶や。

ゲ製が頓挫する理由の7割以上は「シナリオが最後まで書き終わらない」だと思うので、我々のゲームはそこをクリア出来ている現状です。
相方の作業が無限にあるため完成まであと数年はかかりそうですけど、発表は出来るんじゃないかなと思っています。

参考画像のとおり、非常に硬質でシリアスな百合作品となっております

Xでも様々なゲ製者と繋がっていますが、共同制作をしているゲ製者はかなり少ない印象です。
大体の方は単独でやっており、必要に応じて外部に協力を要請するスタイルが多いでしょうか。
今回は「共同制作のメリットは?」「上手くやるコツってあるの?」ということについて、シナリオライター目線からあけすけに語り明かしていきたいと思います。
ある意味、貴重なレポートになる気がします。
というかもう、ただの惚気です。


【共同制作のメリット①】謎のプレッシャーによる継続効果

外部からの圧力がかかると、人間は仕事をちゃんとこなすものです。
断言できますが、私が一人でシナリオを書いていたら絶対に完成していません。
 
当初の予定では13章程度の中編になる予定でした。
非常にセコいこと言いますが「私たちの戦いはこれからだEND」するつもりマンマンだったんですよね。
「もし発表して、人気が出たら続編作ろうぜ!」くらいのノリだったんです。
 
しかしシナリオがそこまで完成した時点で、システムとキャラデザが充実し過ぎてしまい、中編では勿体ないという状況になりました。
そこで相方から「俺たちの戦いはこれからだENDだし、もっと伸ばして完結させん?」という素晴らしい提案があり、有無を言わさぬ圧力によりもげるくらい首を縦に振らされました。
一度入ったらやすやすとは抜けられない、それがゲ製沼……。
 
そういうことになると、私がぶん投げてゲ製を崩壊させるわけには絶対にいかない。
ですがエンディングまでのグランドデザインを描けておらず、プロット組みもまったく進まず、作業は壮絶を極めました。
 
ですがここで、相方の存在は非常に大きかった。
相方は私のシナリオをベタ褒めしてくれており、もはや何を書いても褒めてくれる。
プロット案を確認して、客観的なアドバイスもくれる。
ここまで作り上げてきたので信頼値も大いに築かれている。
期待を裏切るわけにはいかない。
そりゃあ命を懸けてでも書き上げることになりますよね?
というわけで、何度か筆を折りそうになりながらも書き上げることができましたとさ。


【共同制作のメリット②】自分だけでは出てこないアイディア

長編シナリオを書いてると、当たり前ですが筆が止まるときがあります。
私はシナリオを書き始める前にゲームシナリオや脚本術に関する本を数冊読み、プロットをガッチガチに固めてから取り組んでいるので、止まる率は低い方だったと思いますが、それでもやっぱり止まります。
 
そうなると唸りながら案を捻り出すしかないのですが、これが大変な作業でしてね……。
百合漫画を読んでインプットしたり、サウナに入って瞑想したり、散歩しながら景色を眺めたりするなど色々と手を尽くしました。
ですが一人だと視野が狭くなり、打開策となるアイディアが中々降ってきません。
 
そこで相方に相談してみると、意外とすんなり核心を突くようなアイディアを提供してくれる時があります。
当事者では分からないことでも、外部から見ていたら分かることってメチャクチャありますよね。
 
先日も本筋に関わる重要な部分について相方から提案があり、書き直しました。
私自身もキャラの造形や心情描写的に引っかかる部分があると言っており、モヤついた気持ちも抱えていたのですが、修正により現状の最適解に近づけたのではないかと自負しております。
(提案するときも私が機嫌良さそうなときに切り出してくれるから、しゅきぃ……)
 
因みにですが本作はキャラクターの立ち絵が大きく表示され、かつ表情差分がとても多いのが特徴のひとつです。
実装作業は相方が行っているので、メチャクチャ文章を読み込み、それに合わせた表情を入れ込んでくれるわけです。
だから私よりも作品に精通している説までありますので、アドバイスがいちいち的確なんですよねえ。


【共同制作のメリット③】世界で一人だけでも成果物を絶賛してくれる

ぶっちぎりでこれが一番デカイです。
最高にモチベーションが上がる。
 
創作は孤独との戦いだと思っています。
ましてやシナリオライターにとっては特にです。
なぜなら外部に公開できるような成果物がほとんどないから。
台詞を公開したところでネタバレになってしまいそうですし、画像のインパクトには到底及ばず、宣伝効果もそこまでないでしょう。
ひたすら黙々と書き続けるしかないんですよ。
 
創作者なら分かっていただけると思いますが、一人だけからでも感想をいただけるのは超嬉しいこと。
共同制作の場合、相方から感想を貰えます。
もうこれが、爆アドと言わずして何と言うのでしょうか?
 
しっかり読み込んで、ストーリーを褒めてくれる。
狙っていたエモいシーンや百合シーンで期待通りに喜んでくれる。
 
浴びるほどにポジティブ意見を貰えて、能力以上に自分が凄いシナリオライターなんじゃないかと思えるほどです。
常日頃からセルフイメージが大事だと意識していますが、相方が上手に手綱を握ってくれた感じは大いにありますね。
手のひらの上でコントロールされてたとも言えますが……。
 
そのため作品をまだ発表していないのに、もう若干満足して賢者モードになっている自分がいます。
今後けちょんけちょんに言われようが、すでに褒められているのでそれだけで満足です。



【上手くいったコツ①】お互いの領域にあまり口を出さない

共同制作が失敗した理由としてよくあげられるのは「他人の作業領域に口を出す」「ボトルネックを誰かが止めている」「失踪した」などでしょうか。
 
私の場合、世界観設定・キャラ設定を共有したらひたすらセリフを書くだけの作業だったので、相方の進捗には1ミリも影響されず、ボトルネック部分がそもそもありませんでした。
これは相方も同様で、UnityでSRPGのシステムを組むところから始まっているために私の進捗はまったく関係なしです
 
イラスト部分については上記のとおり事前にキャラ設定を共有しており、そこと明らかに解釈不一致でなければOKとしていました。
システム部分に関してはお互いにプレイしてきたSRPGの種類が違う(私は「FE」で相方は「スパロボ」)ので、結構食い違いがありましたが、そんなに揉めた記憶はありません。
「スパロボだとこう」と言われたら「ほなええか」となっていました。
「そこそこゲームをプレイしている相方がUXについて大きく外すことはない」という信用あってのことでしょうね。
シナリオに関しても、ダメ出しみたいなことは一度もされませんでした。
 
アイディアを提供することはお互いにしていましたが、細かい指摘をするようなことはなかったです。
「絶対に自分の意見が通らないと嫌なんじゃ!」という方には、共同制作は向かないと思います。


【上手くいったコツ②】二人ともこだわりがそんなに強くない

コツ①とも似ているんですけれど、二人ともそこまでこだわりが強くありません。
創作者って強いこだわりを持っている場合が多いじゃないですか?
作品を作り上げて問いたいテーマや、表現したい事物があると思うんです。
シナリオライターだと「絶対こういうシーンを入れる!」とか、プログラマーだと「こういうギミックを入れたい!」とか。
 
私は「百合を書ければテーマは何でもOK」、相方は「魔乳設定をしなければOK(貧乳教徒なので)」という、かなりこだわりのハードルが低い状態でした。
そもそも本作は百合SRPGですし、私も魔乳・超乳が特別好きでもないので、絶対不可侵領域を踏み越えることがありません。
 
お互いの仕事を信頼しているので、基本的に細かく指摘はしません。
無暗にdisることもしません。
多分お互いに「ちょっと思ったんと違うな?」ってところがあったのかもしれませんが、「まあ別にええか」という感じで流していると思います。
ある種の寛容さも共同制作では大事なのではないでしょうか。


【上手くいったコツ③】相方のメンタルが安定していた

共同制作をするとなると、当たり前ですが喧嘩することもあります。
我々もクソみたいなことで色々と喧嘩をしてきました。
なんですけど、喧嘩の原因の9割は私のメンタル不調による逆ギレであり、相方のメンタルはマジで終始安定していました。
 
自己啓発に関する発信を多くしているくせに、創作活動中の私はかなりのメンヘラです。
それをSNSに垂れ流さないよう死ぬほど気を付けていましたが、相方にはしょっちゅうヘラっていました。
 
「もうダメだ、面白くなりそうな気がしない……」
「引退だ、シナリオライター引退するわ……」
「これ、話、ちゃんと繋がってんのか……?」
「百合シーンが尊くない……。百合作品って言える……?」
「ねえ、本当に面白い?嘘つかないで、本当のことを言ってよ?つまんないと思ってるでしょ?」
 
という具合に、あまりにも面倒くさい絡みを幾度もしております。
よくまぁこれで一緒に製作し続けてくれたもんだ。
 
因みにですが「シナリオライター引退します」と宣言した回数は余裕で100回を越えています。
定期的に引退しているので、もはや相方は反応してくれません。
 
ある意味、シナリオを書く方がヘラっているというのは情感豊かであるべきという点で必然なのかもしれませんが……。
そういう心理状態なので、中々に心ない発言をかますこともありますが、基本的に相方は流してくれました。
非常に大人です。
成熟した精神性をもった人間が一人はいないと、共同制作は立ちいかなくなるでしょうね……。


おわりに

少年ジャンプみたいなことを言って恐縮ですが、結局のところ仲間の能力と人格を信じられるかどうかがすべてなんじゃないですかね?
私は相方を骨の髄まで崇拝し、依存していますので。
あとはもう、完成までの道程を減らせるようサポートするだけです。


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