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高次脳機能障害「私」のマイクロツーリズム~「なぜできないか」から「どういう時にできるのか=例外の発見」~

このコーナーは重度高次脳機能障害当事者(重い知的障害、ADL全般の障害、特に失語症で思うように意思表示できない)の家内(=「私」)の気持ちを、夫である私(=たまさん)が推測し、家内の視点に立ち家内の言葉で書いたものです。
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久々にとても勉強になったセミナーと出会った。

昨日、オンラインで「第29回口腔保健シンポジウム」があった。
「私」はお昼寝。たまさん(「私」のだんな)が視聴した。
かなり充実したものだったらしく「とてもよかった!」と、たまさんは興奮気味だった。
そもそも「食事」は、前回のレポートでもお伝えした通り、「私」のケアサポート上の大きな課題。
そのために、たまさんはじめSTさんやヘルパーさんも頭を悩ませている。

特に最近はなかなか吞み込みがうまくいかない。
いわゆる嚥下力が弱っていることもあるが、「私」の場合、食事の集中力が欠けてくると、ポテトサラダにあるような米粒くらいのごくごく小さなかたまりすら違和感を感じてしまい、飲み込むことが出来なくなる。
一見ずぶとそうな顔立ちではあるが、実は繊細。神経質なのだ。

咳き込みが激しくなったりゲボが続いたりすると、さすがにたまさんも心配して「どうしてうまくできないんだ」と。
率直に言って「私」だってわからない。わかっていれば苦労はしないわ。

でも最近のたまさん、視点が少し変わってきたようだ。
「なぜできないのか」ということよりも、時々うまくいくタイミングを考えるようになってきた。
確かに「私」は年から年中、咳き込んだりゲボしているわけではない。
うまくいく時だってある。
そこを深く分析している。
結果、「私」の食事がスムーズにいくのは、いまのところ
①1スプーンが「少量」
②食材が「コーティング」されている
③「姿勢」がよい(背筋が伸びて、顎が引いている)
④スプーンとスプーンの「タイミング」(急がない)
⑤「無理」に食べさせない
の5つのようだ。

たまさんいはく
「こういう考え方を心理学では、意味療法の『例外の発見』というんだ」と。こういう偉そうにするところがこの人の悪い癖。

実は、昨日のオンラインセミナーもその一環として勉強してくれたようだ。
具体的な話もあり、さっそく取り入れている。
「最終的には『おまえのトリセツ』を作ってあげる」と。
どんなトリセツになるのか。
少し楽しみではある。


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