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介護サポートのための『情報共有化』

お疲れさまです。介護サポートコンサルタントの、たなかよしもり、です。前回は『緩やかな目標管理』というテーマでお話しました。
が、なかなか抽象的でありわかりにくいところも多々あったと思います。
まずは、おさらいをさせてください。

前回、私が提案させていただいた内容は、「理想」と「現実」の間に、「目標・計画」「当事者の思い・希望」を入れ、それを「現実」と比べながら状況を確認していく環境を作るということです。
それによって、理想と現実のギャップから生まれる「怒り」を最小限にしようとするものでした。
今回は、具体例をもとにお話しましょう。

あるご家族のお話。
当事者は奥様(61才)。
重度の高次脳機能障害で、手足の運動、発語、書字、記憶、遂行機能、空間認知、各種失行などいろいろな障害をお持ちです。
自立支援区分は「4」。介護認定も受けていて介護度は「5」。
平日の日中はデイサービス、週3日は夕方ヘルパーさんが入って調理補助(実際はほとんど調理)、週に1回それぞれPT、STの訪問介護。
それ以外はご主人(62)が奥さまを見ておられます。

当初はご主人はかなり疲弊しておられました。
ご自分の思いと奥様との症状との大きなギャップ。「怒り→自己嫌悪→落胆→怒り」を繰り返しておられました。
さらにはそれぞれの介護サポートは事業所がすべて異なるため、ケアマネさんに伝えてもなかなかすべての方(総勢6名)とベクトルあわせができないという別の問題も発生していました。

そこで、ご主人は添付のようなツールを作成しました。
まず、こうありたいという奥さまの望み・希望をもとに、目標ステップを設定。それをもとに奥様をサポートする全員で具体的チェック項目を設定。
そして、それぞれの方がケアの際に感じられたことを各事業所の報告書からご主人が抜粋し、家族での様子を合わせて1枚にまとめています。
それを毎週、全員で共有すべき内容として配信しています。
定番としてのチェック項目はどうか。
実際の現場での状況は。家庭での様子は。

その内容を3か月に1回くらいさらに関係者が集まって議論し、新たな目標設定としています。
こうした仕組みを作られる中から、奥さまの状態を客観的にみることが可能となり、怒りやイライラなどネカティブな感情は以前ほど大きくはなっていないとのことです。(まだまだ「怒り」はあるようですが)

ここで大切なのは「情報共有」です。
ケアサポートはある意味でチームプレー。チーム全体でいかに当事者の方をサポートしていくかがポイントになります。
今回のケースで言えば、特に自分の担当外のところの様子も情報と持つことによって、それぞれの担当の方のアプローチも変わってきているそうです。
どういうツールがいいかは別として、ケアされる方が複数・多事業者にわたる場合には、緩やかな目標をベースとした、情報共有ツールを作成する非常に重要になると思います。
当事者の方の情報を持っているといないとでは、ネガティブな感情の発生度合いも変わってくると思います。

しかし、当事者の方も人間です。
必ずいろいろな「変化」があらわれます。
例えば、それをどこまで素早く、共有できるかで、次のサポートの仮説をたてることができます。

実際に今回の奥様にも「変化」があらわれているようです。
それは「老化」です。ご主人もさすがにそれは想定外だったようで。
詳しくは次号にご案内します。

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