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今更ながら映画『リメンバー・ミー』をレビューしてみた~メキシコと日本の文化の違いに注目してみる~
この曲は2017年の ピクサー映画『リメンバー・ミー』のワンシーンで流れる曲ですが、スペイン語版が8億回再生されていることからもその人気がわかるでしょう。
なぜ今更この映画を見てレビューしたのかというと、メキシコ人の友人が勧めてくれたからです。この映画自体はアメリカで作られましたが、メキシコでは子供から大人まで大人気なのだそうです。
さて、率直な感想ですがとても面白かったです。テーマは家族愛で、登場人物が音楽と家族愛どちらを取るかで揺れ動くのがとても印象的でした。物語は王道でとてもわかりやすかったです(こういうのがいいんですよね)。映像や音楽も美しく、今まで見たピクサー映画の中で最高だったと感じます。
しかし、私がこの映画を楽しめたのは私が既にメキシコ文化を学んでいたからだとも思います。このお話はメキシコ版のお盆である「死者の日」に起きる出来事に焦点を当てていますが、向こうの価値観を知らないと良くわからないことが多いと思います。
例えば、主人公ミゲルのおばあちゃんがサンダルを持ってミュージシャンに殴りかかるシーンですが、これは南米のお母さん(おばあちゃん)の典型的な行動なので知っているとくすっとできます。
また、作中の人物が死者に対して全くネガティブなイメージを持っていないことも日本人からすると違和感があるでしょうし、骸骨が楽しそうに暮らしている姿もかなり奇妙に映ると思います。
これは古代メキシコから存在する死者を偉大なものとする文化に由来していますが、一方日本では神道により死を「穢れ」として捉える傾向にあるため、なかなか理解がしづらいのではないでしょうか。↓参考資料
また、ミゲルの家族がミゲルに音楽禁止のルールを押し付けることも一見すると「毒親」に見えるかもしれません。しかし、子供が多い傾向のあるメキシコでは家族がルールを守り、お互いを助け合うことで厳しい環境を生き抜いてきた歴史があります。
その事実を知っていると素直に作中の家族愛に感動できるのですが、少子高齢化の進む日本人には受け入れがたい価値観かもしれません。しかし、設定が単純な方が物語がわかりやすくなるため、私個人としてはミゲルの家族の設定はとても良かったと感じています。
この映画はメキシコの背景知識があると100倍楽しくなります。もしまだ見たことのない方がいらっしゃいましたら、とてもおすすめですのでぜひ見てください。