サービスのことがわかっている管理部って何?
以前、とある会社のCOOの人に言われたことがあります。
「サービス(事業)のことがわかってる管理部ってホントありがたい!」
また、別の会社の部長も「事業部(サービス)のことがわかってる管理部の人って、ほとんどいないよね。」という話をBARでお酒を飲みながら話していました。
(ちなみに、その部長には「逆に、管理部の仕事をわかっている事業部の人っているんですか?」ってお返しをしたら、「あ、いないね〜wwwww」とのことでしたw)
同じ会社の中でも、事業部(営業やエンジニアといったサービスに直接に携わる業務)と管理部は、仕事の特性が違うように思います。だからこそ、お互いの仕事のことをわかることは難しいのかもしれません。
それぞれ、下記の領域の業務を行っています。
・事業部:サービス運営・事業運営
・管理部:会社運営
家庭で言うと、「外に出て仕事をして給与を稼ぐ」のことが事業部で、「家計簿をつけたり、役所手続きをしたりなどの家事」が管理部の仕事のように思います。
ちなみに、管理部業務をいい加減にするということは、家が散らかってたり、家計簿がめちゃくちゃで貯金が溜まっていなかったりするのと同じ状態になるということなんだろうなぁ・・・と理解をしていますw
■事業のことをわかっていないとどうなるか・・・
●経理
家計でも「給与は●●円だから、食費はこれぐらいで・・・。今月はボーナスが入ってくるから・・・・」と考えて運用すると思います。
ただ、家庭と大きく違うのが、収入が毎月同じとは限らないところです。そのため、事業(サービス)がどれぐらい伸びて、売上の計画はどれぐらいか?ということを把握した上で、どのようにお金を使っていくのか?を考える必要があります。
また、お金を使いすぎている場合には、事業部に警告を出す必要もあります。
●採用
事業が伸びる場合には、往々にして「人」を増やす必要があります。
事業が順調に伸びていると、20〜30名以降は70名〜100名まで1年で増やさないといけないこともあります。「事業が回らない!可及的速やかに採用を!」というオーダーを受けた採用担当が泣きそうになっているという話をよく聞きます。
事業の伸びを予測して、採用計画を立て、種まきをしたいところです。
●人事
人が増えると、組織図の再編や教育体制を整える必要が出てきます。よくあるパターンが、せっかく採用したのに離職して事業が伸び切らない、という状況です。その際、教育体制ができていなかったり、また、マネージャーが必要だったから昇格したが、未熟なままでマネージャーにフォローが入らず、チームメンバーが離職していっています。
●法務
契約書や利用規約を作成するときは、起こりうるトラブルや訴訟を想定して、それを防ぐために、条文を策定していきます。そのため、事業部側の動きを知らないと、想定することができません。例えば、派遣社員や業務委託社員が働いていることを知らず、お客様からのリクエストで締結することになった覚書で、「第三者への情報開示はNG」をいう内容のまま締結をしてしまうなどなど・・・。
●労務
労務は社員の「働き方」に関わる仕事です。就業規則や賃金規定は、一度定めたらそのままではなく、特に事業の変化の激しいスタートアップでは、働き方も変化していくので、その働き方にあった就業規則や賃金規定にブラッシュアップし、会社の信頼を支える必要があります。
管理部のことを事務屋のように言われることはよくありますが、各部門の専門家で、管理部は会社が倒れないように支えている屋台骨の部門です。事業部が知らない法的な違反事項も、事業の動きがわかっていることで、先回りしてアドバイスをすることができます。また、先回りをして計画だった動きをすることで、サービスの成長を加速することにも貢献することができます。
ですが、事業のことを知るのは難しいです。
個人的な例ではありますが、ご参考までにご紹介できればと思います。
■事業を知ることで、キャリアの行き詰まりを解消!
●仕事が”本当の”意味で楽しくなるぐらいやりきった時がチャンス!
その当時は採用担当の業務に携わっていましたが、実務経験も5年ぐらい経っていました。また、採用業務の中でも、中途採用・アルバイト採用・派遣採用・インターン採用を一人で担当しており、1年間で100名以上の方を採用をしていました。
各部長と採用計画を相談したり、お金をかけて複数の媒体を出して比較してみたり、鬼のように日程調整を行い、また、数百人近くの人と面談も行いました。
ここまでの物量の経験を積んだり、苦労を乗り越えたことで、呼吸をするように採用業務を行うことができるようになり、仕事における”本当の楽しさ”がわかるようになりました。
一方で、ここまで実績や経験をしたことで、ここからどうやって次のステージに伸ばしに行ったらいいのかわからなくなりました。
また、当時は社内満足度アンケートも担当をしておりましたが、「組織をもっと良くしていく」という意味では、アンケートをうまく活用しきれておらず、行き詰まった状態でした。
●違う職種に挑戦をする!人事×新規事業担当者のコンボ!
この行き詰まった時に転機だったのが、グループ会社の代表から新規事業担当のオファーでした。
ずっと人事領域で業務をしていたので、その知見を活かして、人事向けの新規事業を立ち上げてほしいとのことでした。
そもそも、事業側の業務が新卒で営業を1年やったきりのご無沙汰だったので、貢献できるのか心配で非常に迷いましたが、挑戦することにしました。
「人事領域のHRテックの何か」というテーマしかなかったので、まずは「何を企画するか?」というところからのスタートでした。
人事系のセミナーや交流会に行き、勉強するだけではなく、人の繋がりも積極的に作りに行き、1年間で300〜400人ぐらいFacebookで繋がりました。そこから、他社の人事の方にどんなニーズがあるのか?をヒアリングし、「解決したい課題」と「解決策=サービス」を立案しました。
●事業計画というサービスの未来計画を描くと、「事業」がわかった!
最終、立案した新規事業案を社長にプレゼンをすることになり、人生で初めての事業計画書を作成しました。
知り合いのVCに事業計画書の書き方を見せていただいたり、社内の新規事業の企画書を見て勉強をしました。
また、事業計画書には、サービス内容だけではなく、市場規模や競合情報、マーケティング戦略、売上予測、損益分岐点、料金案、CACなどなどの情報を盛り込んでいき、サービスの3年の計画書を作成しました。
今まで人事だけを担当していたので、その領域のことしか見ることができませんでした。
今回、サービスの3年の計画書を書くことで、どうやって売上を伸ばしたり、サービスのクオリティをあげようとするのか?であったり、顧客数や売上の増加と共に、営業・マーケ・開発・CSの動きがどのような動きをするのかがわかるようになりました。
結果的に、事業成長をするために、人事はどういった影響を与えることができ、どういった動きをするといいのかを知ることができ、自分の中でもキャリアの行き詰まりを感じていた中、次のアクションが見えるようになりました。
「事業をわかる」という意味では、事業計画書を一度書いてみるのはオススメではありますが、何もないところからは書けないので、少し簡易版の手順をご紹介したいと思います。
■どうすれば事業のことがわかるのか?
●まずは、売上の目標を知る
往々にしてマーケティング部や営業部では、数字目標や計画を設定しています。
全体会議などでは、よく数字の動きを報告されることがあるので、そこで情報収集をするのがいいです。もし、そういった会議体がない場合は、営業管理のエクセルを見せてもらうのもありです。
また、達成状況を見ることで、今後の目標自体もどれぐらいの達成確度かも、ある程度、つかめてきます。
加えて、スタートアップの場合は、資金調達の計画もあると思います。そういった将来的な入金も把握すると、「今、お金を使うべきタイミングかどうか?」を考えられます。また、お金を使いたいことがあれば、CEOやCFOに相談するのもいいかもしれません。
●売上が伸びたときに、どういった組織図でないと人手不足になるのか考える
前述でご紹介した営業やマーケティングが管理している数字目標の中には、利用頂いているお客様の目標数も設定されていることが多いです。
ノートでもエクセルでもいいですが、一度、「これぐらいのお客さんの数だったら、何人ぐらい人がいないと回らないだろうか?」と考えてみるのがオススメです。
例えば、下記のような点をエクセルで表にして、更に、売上数字・顧客数などの数字も項目に加えて、1ヶ月や3ヶ月単位の推移を見ると面白いです。
・営業・カスタマーサポート・技術者などどんな職種が必要か?
・それぞれの職種が何人必要か?
・1人のマネージャーに対して、見れる適性人数は最大10名なので、何人のマネージャーが必要か?(あくまで最大なので、もう少し少なめの人数がオススメです。)
・マネージャー、メンバーの実務経験のレベルはどれぐらいか?
・それぞれの人の給与はどれぐらいか?
●お金の循環を調整する
前述の「それぞれの人の給与はどれぐらいか?」という数字は、いわゆる人件費です。
会社の中ではいろんなことにお金が使われていますが、大半を占めているのが、「原価(材料費などのサービスを提供するために必要なお金)」「マーケティング費用(広告費)」「人件費」です。
この3つ数字の合計を売上の目標数字から引くことで、想定される大まかな利益が出てきます。
利益が出ていなかった場合、ご自身が描いたエクセル(もしくはノート)の世界では、人材を多めに配置しすぎているか、そもそもマーケティング費用や原価がかかりすぎている可能性があり、調整をする必要があります。
もし、原価やマーケティング費用は、実際にどういったものにお金をかけているかを各部署に教えてもらうのが一番いいです。MTGを設定するほどでもないので、飲み会やタバコ場などの雑談のときに聞いてみるのがオススメです。他には、ネットでも相場が乗っていたりするので、そちらの情報を参考にするのもありです。
■最後に・・・
営業やマーケティングの数字に戻ったように、このような手順をぐるぐる繰り返していくと、精度があがっていきます。ただ、今回の場合は、精度を上げることが目的ではないので、数字の辻褄が会わなくても問題ありません。
どちらかと言うと、このエクセルを作ることで、事業部側のそれぞれの職種の動きが見えてきます。(というよりも、見えてくるまで繰り返すのが良いです!)
また、この想定を作ろうとすると、どうしても事業部の人に小さな質問をしなければいけません。そのコミュニケーションを通じて、関係性を築けることもお得ポイントです♪
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