note、いまさら始めてみました

 2020年がこれほど意義深い年になると想像した方は、そう多くはないだろう。

 確かに東京五輪イヤーとして、賛成派だろうが反対派だろが、日本人にとって一大イベントが華々しく開催され記憶に残る一年になったはずだ。しかし、まさか人類史に記されるほど大きな衝撃をもたらす年になると考えた方は極めて稀だったはずだ。

 2020年は「たまさぶろ」にとって、実は文業10周年にあたり、ちょっとした記念イベントでも企画したほうがよかろうか…と思案したが、そんな節目の年がこの騒動。もちろん単なる偶然以外の何物でもないが、各種飲食店が営業制限を受ける中、おかげでBAR評論家も開店休業状態だ。

 さらに昭和40年男にとって、2020年は55歳になる年。おそらく多くのご同輩がそうであったであろうに、これまで55歳になる自身を想像した機会は、そう頻繁ではなかった。私自身も「ついこの前、30になったばかり」のつもりでいた。それが気づけば「知命」などという達観した年齢は遠に過ぎ、もはや還暦さえ目前という年齢だ。

 父が還暦を迎え、久しぶりに家族全員で高級温泉旅館に宿泊、「息子に温泉に連れて来てもらえるなんて極楽だなぁ」と湯船での悦に入ったセリフを口にしていたのは、つい昨日のことではないかと振り返る。

 その父も66歳で還らぬ人となり、すでに11年が経った。つまり私自身残り11年で亡くなった父の年齢に追いついてしまう算段だ。

 こうして振り返ってみると1980年代の大学時代、「書く」という職業を志してこの方、「書きたい」「書かねば」という使命感に駆られた原稿をどれほど、この世に残して来ただろうか。

 日夜消費されて行ってしまう週刊誌への掲載など、今となってはどれも読むことはできず、『FMステーション』に書き記した記事たちも、もはやウチの書庫の資料として残る程度。

 さらにデジタルメディアの時代となった今、書けども書けども、書籍として刊行される以外に、自身の作品はますます埋もれて行く時代。MSNやYahoo!に寄稿した300本以上の記事は、いまや読み返すことができない。やれ「編集方針にそぐわない」「もう少しオブラートにくるんでもらわないと」と注文ばかりで掲載もままならぬ各種メディアとは別に、自身の原稿を形に残しておく必要性があると痛感した。そこで「いまさらかよ」というご意見も多いだろうが、本日よりnoteを始めることにした。

 いや、noteでさえ、もちろん、10年後には残されていないメディアである可能性も残る。しかし、あれこれと指示され、見出しや本文に手を入れられた結果、結局消滅してしまうのであれば、自由に自身の意見を書き連ねることができる、こうした気楽なソリューションに身を委ねてみるのも一興だろう。

 これまで長きにわたり、私の戯言にお付き合い頂いた有料メルマガ『たまさぶろの人生遊記』の読者には大変申し訳ないが、こちらへの引っ越しという抜け道でご容赦頂きたい。

 なお、ご存知の通りSNSでもペルソナの仕分けを敢行したため、たまさぶろのnoteはお金にならないBARでの話題を含め、旅、音楽、映画や文学について文化的側面のみの戯言を伝えて行くつもりだ。ビジネス、メディア、スポーツについては切り分ける予定。あ、美女の話題は、もちろん「たまさぶろ」限定でお届けする。

 ありていな話題については無料のまま、これまで発表することもなかった創作についてなど、極めて恥ずかしいテーマについては、有料として鍵をかけたままの状態で提供しようと考える。有料メルマガですでに配信した連載も、バックナンバーを遡らないと二度と振り返ることができないまぐまぐより、課金システムさえ操れば、途中からでも読み返すことができる状態を、noteで繰り出すつもり。

 また有料メルマガ同様、大きな声では話せない案件は、有料という鍵をかけようと思うので、ご理解のほどを。

 つまらない話題ながら、これにして所信表明とした。多謝。



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