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会計は最高の知的エンタメ|フィットネス業界
問題です。
女性だけの30分体操教室「カーブス」を運営する株式会社カーブスホールディングスと、24時間フィットネスの「エニタイムフィットネス」を運営する株式会社Fast Fitness JapanのPL構成を比較してみました。株式会社カーブスホールディングスはどちらでしょう?
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突然なに!?と思いました?笑
最近、大手町のランダムウォーカーさんの書籍↓を読みまして、影響を受けてるんです。で、読み物としても面白かったんですが、貪欲さが露呈し、会計という知的エンタメをもっと味わいたいと思ってしまいました。ということで、気になる企業を取り上げて会計クイズを作ってみたわけです。
今回は、(続くんかいw)わたしが3月より通っているカーブスと、オーナーVS会社で揉めてらしたエニタイムフィットネスを取り上げて、フィットネス業界を見ていきたいと思います。
(↓会長85歳だってさ…)
販管費の内訳を予測せよ
再掲。PL構成です。PLってなに?というかたはぜひ大手町さんの書籍を読んでくださいな!
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見たとおり、原価率は同じで、販管費の違いが営業利益に効いてるようです。
販管費とは、商品・サービスを売るために間接的に発生した費用のこと。従業員のお給料や広告費・店舗の賃料などが含まれます。正式名称は販売費および一般管理費。
ふむふむ。てことは、直営の店舗数が多い方が販管費が膨らみそうだぞ。フィットネス事業って、コンビニみたいにフランチャイズしてるもんね。で、フランチャイズ店舗の費用は決算情報には乗らない。ってことで、直営の店舗数がカギだ!
店舗数を比べてみると・・・
カーブス:直営75店、フランチャイズ1883店
→フランチャイズ率96%エニタイムフィットネス:直営165店、フランチャイズ837店→フランチャイズ率84%
えっ、どっちもほぼフランチャイズ!直営店すくなっ!!!こんなにフランチャイズだらけだったなんて知らなかったです。
うーん、ちょっと心配だけど、エニタイムフィットネスのほうが直営店舗が多いから、きっと、右の販管費が多い方がエニタイムフィットネス。つまり、カーブスは左側かな!!
残念!正解は、カーブスは右側でした。
「(直営の)店舗数が多い方が販管費が膨らみそう」という仮説はきっとよかった。でも、フランチャイズ率が圧倒的に高い両社において、店舗の運営費が販管費に与える影響はそんなに大きくないのでした。店舗数が分かった時点でこの仮説を取り下げるべきでしたね。
じゃあいったい何が違うのかと言うと・・・広告宣伝費!
エニタイムフィットネスの広告とカーブスの広告、どっちの方が多く見かけますか?わたしの体感では、カーブス。テレビCMを売ったり、血管年齢計測キャンペーンを頻繁に打ち出してたりと、頻度高く広告・宣伝をしてる印象があります。
で、決算情報を見てみますと。カーブスは販管費のうち25%、22億円も投じていたんです。一方のエニタイムフィットネスでは、販管費の15%程度でした。
おなじフィットネス事業でも、利益率にこんな大きな違いが出るなんて面白いですね。でも・・・ちょっと待って!これってコロナ禍の決算ですよね。コロナ前からこんなに差が出てたの?
コロナの影響を大きく受けたのは
こちらは、売上高と経常利益率(ほんとうは営業利益出したかったけど、経常利益のデータの方が拾いやすかったからごめん)の推移です。
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見てのとおり左がカーブス、右がエニタイムフィットネスです。
カーブスも、コロナ前では利益率18%とそれなりに良かったんですね。でも、2020年からは急落。
カーブスのユーザーって、中年~高齢が圧倒的多数。コロナが良くわからんものだったころは、不安感から退会した人も多かったようです。
2020年2月末83.2万名であった会員数は、コロナショックの影響により2020年5月末54.5万人(休会を除く実質会員数)まで減少しました
一方で、エニタイムフィットネスの主たるユーザーは20代~40代の男性。この世代にコロナショックは大きく影響しなかったようです。2020年3月末58.2万人だった会員数は、2021年3月末で56.5万人と減少してはいるもののたったの▲3%程度!2022年3月末には64.5万人と順調に増加傾向。コロナなどどこ吹く風ですね。若いって強い。
親分を買収したったカーブスの下剋上
カーブスとエニタイムフィットネス。実はどちらも、アメリカ発祥のフィットネスビジネス。てことは、いずれの会社も日本ではフランチャイズ展開をするものの、自らもアメリカの世界総本部と契約を結んで、ロイヤルティーを支払う関係。フランチャイズのフランチャイズやないかい!
いやー。仕組みって強いですね。何もしなくても(しなくはない)お金が入る仕組みって最高じゃないですか。うちにもください。←
でもね!日本のカーブスは、この世界総本部の会社を買収したようなんです!!!!下剋上!!!!つよい!!!
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いろいろあったようですが、親分の「Curves International, Inc.」を買収して子会社化し、なおかつもともとの株式会社カーブス・ジャパンを子会社化。そして「株式会社カーブスホールディングス」を立ち上げたんですって。すごいー。(語彙力)
こうすれば、アメリカに払ってたロイヤルティーもグループ内として回収できるし、成長余地の高い海外事業の展開ができますもんね。たくましい~。
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同じフィットネス事業でも、誰をターゲットにするかでコロナショックの影響が大きく分かれた二社。コロナショックで会員数が大きく減少してしまったカーブスですが、親分を買収しちゃう強かさは健在。これからどう動くのか!?カーブスホールディングスのこれからの展開に期待ですっ!
何気なく認知していた、馴染みのある企業の決算情報を調べてみると、全然知らなかった一面がみれてめちゃくちゃ面白かったです。ニーズはたぶんないけど、わたしが面白いからこのシリーズは続けたいとおもいます。笑
おしまい