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ピース降る
笑ってほしいだけだったんだ冬の雨スープはるさめ食べ比べして
感情を言い表せる言葉より花の名前の方が多いね
しらしらと揺れる言葉にみずいろの付箋を溶けてゆくように貼る
胸骨にくちをつければ笑い出すきみが片手で飲むVolvic
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ごみ箱のジュースパックのストローの射程に入ってみるおぼろ月
図書館の出窓に重ねられたまま眠る楽譜のよう春の日は
心臓をさわってみたいあたらしい牛乳石鹸おろす夕刻
海の映画の名前を思い出せなくて舌に翡翠を転がすように
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雪のような夜の春だねいつまでもきみは無料の音楽を聴く
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「ぺんぎんぱんつの紙 雪まつり」より9首
歌集『ピース降る』にも収録しました。全国の書店やインターネット書店でお買い求めいただけると幸いです。
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