田丸まひる

歌人・『晴れのち神様』『硝子のボレット』『ピース降る』https://www.amazon.co.jp/dp/4863852630/

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マガジン

最近の記事

笠木拓歌集『はるかカーテンコールまで』のかわいいの話

 2024年3月24日、京都にて笠木拓さんの歌集『はるかカーテンコールまで』(港の人)の批評会が開催された。  久しぶりにお会いする方も初めての方も、インターネットを通じてお互いずっと知っていたけど20年を経て会うことのできた方もいて、とても楽しかった。  人と会うのはいいな、と思う。会える時に会っておかなくちゃ、とも。タッチしてもいいかなと確認してから触れる手の温度も、会わないと分からない。  会場発言で指名していただいた時に、笠木拓さんの歌の「かわいい」について話そうと

    • 風邪ひきと痛風の夜 しんくわ(2016)

       今、痛風の発作にくるしめられています。運よく今日と明日が休みなので、その期間でなんとか普通に歩けるくらいの痛みにまで回復できないものかねと願いながら、夜中のファミレスでこの文章を書いています。さっきコーヒーをおもいっきりひっくり返してしまい、結構高いジャージがビショビショになってしまいました。悪い時には悪い事が重なってしまうものです。  あっ、そうそう、酷い風邪もひいています。十一月に津山市で、市と観光協会の後援を受けて、イングレスというスマートフォンの位置ゲームの大会が

      • 六月の鳩  しんくわ(2018)

         どうやら僕の住んでるアパートの部屋の窓の外の金木犀の枝の中に鳩が巣を作っているらしくて、部屋の中にいると低い鳩の鳴き声がする。さっきバサバサッと羽ばたかせるような音も聞こえた。僕が(いるな)と思うと同時に、窓の向こうの鳩も建物の中にいる僕に気づいているはずである。なぜならば、人間である僕のほうが、身体も大きくて、足音や、くしゃみやイビキとか、鳩よりも大きな音をたてているからだ。たぶん卵を抱いている鳩にとって、僕の存在は壁の向こうに確実に存在している巨人かなにかのようなものだ

        • 春風町33番地測量計画頓挫中(ぺんぎんぱんつの紙 33枚目はweb)田丸まひる

          moderate さくら色のマスクが風に舞い上がる暮らしのなかに足りないなにか でもそれはちゃうんちゃうんと言えなくて小道に指がかじかんでいる 浴槽にもたれてライブ配信を観る日がくると思わなかった ぼんやりと燃えるこころの灯火の推しメンカラーの歯ブラシを買う つよつよになるしかなくて灰色のマスクを抜け殻みたいに外す 一緒には怒ってくれんひとばかり怒ったほうがええとか言うて 好きなひと増えればそれに伴って嫌いなひとも増える五月雨  春には2歳を迎えようしている子

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        • エッセイ
          5本
        • ぺんぎんぱんつの紙
          2本
        • 淡々とした日記。育児のこと多め。
          14本
        • 短歌
          1本
        • 硝子のボレット
          10本
        • ピース降る
          3本

        記事

          春風町33番地測量計画頓挫中(ぺんぎんぱんつの紙 33枚目はweb)しんくわ

          覚えてない夜のはなし 人間なんてチャウシェスク ルーマニア産のワインを飲んで歩道を斜めに歩いて帰る チョコレートもらった 腹を揉まれた 僕からは、何を返すのか!何もないじっと手を見る 車を買おう メルカリでイタリアの次元の乗ってた車を買おう どうしてどうして僕たちは歩道を斜めに歩くんだろうね 人の命のみじかさ 僕の左には先日振られて飲みすぎてゲロ撒き散らかした女がいる人の命は短い! コンビニで軽いステップ踏んだあと言ってやったんだ。僕はまっすぐ立てないって 酔う

          春風町33番地測量計画頓挫中(ぺんぎんぱんつの紙 33枚目はweb)しんくわ

          2020年6月の日記

           本当だったら(本当ってなんだろう)2020年6月には、Juice=Juiceの宮本佳林ちゃんの卒業コンサートがあって、わたしは東京で号泣しているはずだったんだなと思っているうちに過ぎていったひと月だった。佳林ちゃんが幸せに卒業できますように。  0歳児から1歳児へと華麗に転身したRは、積み木を積んだり投げたり、キティちゃんのぬいぐるみと遊んだりで忙しい様子。保育園でも「ぬいぐるみが好きです」と言われて、まあ、家のなかにぬいぐるみいっぱい住んでるもんね、と思う。友達の子ども

          2020年6月の日記

          2020年5月後半の日記

           そういえばもうずっと半袖で過ごしていて、日差しが強いのでカーディガンを着なくちゃいけないと思っているのに、面倒くさくてクローゼットから出せないままでいる。わたしは日焼けはしたくないんだけど。  5月の連休明けに仕事に復帰して、なんとか慣れようとしている日々に、R氏の毎週週の初めに発熱しちゃうけどなにか?イベントが続く。週に一回、病児保育に連れて行くパターンになって、本人も慣れているような気がする。発熱していても基本的に元気なのはありがたい。食欲も落ちない。お皿まで食べよう

          2020年5月後半の日記

          2020年5月前半の日記

           ゴールデンウィークは天気のいい日が多かったので、R(11ヶ月児)の歩く練習も兼ねて、連日海辺の公園に散歩に行っていた。地方のいいところなのかもしれないが、広い公園にはそれなりにたくさんの人が訪れているものの、隣の人が数十メートル先という距離感で、みんなのんびりと歩いたりお弁当を食べたりしている。Rは、草をむしって食べていた。  R氏、名前を呼ぶと手をあげて反応してくれるようになったのだけど、キティちゃんのぬいぐるみと一緒にお返事の練習をしていたからか、「キティちゃーん」っ

          2020年5月前半の日記

          2020年4月後半の日記

           こういう日記、ちょっと面倒だなって思うと途端に書けなくなってしまう気がする。誰かのために書いているわけじゃないし、それでもいいんだけど、続けられるところまでは続けたい。  この期間はR(10か月児)の体調に振り回されて、通院以外はずっと自宅にこもっていた。本当にステイホームだった。自分の体調も芳しくなく、しばらくダウンしていた。以下、長いのだけど、自分が今後冷静に対応するための熱性けいれんの記録。  R、日曜の夜からやや高熱が出て、鼻水も増えていた。食欲もあるしいつも通

          2020年4月後半の日記

          2020年4月前半の日記

           4月1日は、雨だった。10か月になった子どもは、よちよち歩きというよりもドスドスという擬音語が似合うような歩き方(二階で歩かれると、一階に音が響いている)で、はじめて保育園の自分の組に入っていく。慣らし保育ということで徐々に預ける時間を長くしていったけれど、初日からこちらが拍子抜けするほど余裕で、泣かなかった。  0歳児だと、それぞれが一人の世界で過ごすことが多いのかと思っていたら、そろそろ1歳になるという子たちが集まって、一緒に遊ぶことができている。という風に見えるおも

          2020年4月前半の日記

          2020年3月後半の日記

           桜の季節。盛大にお花見をする習慣はないけれど、職場に向かう途中に咲いている花を見るのは好きだったな、と思い出す。それから、いつかの歌会で紀野恵さんがソメイヨシノがクローンである話を少し怖い話として楽しそうに話していたことも。  この季節に出る桜のイメージの商品はなんだか愛おしくて、今年は桜の香りのシャンプーを買って、桜のドーナツを食べた。  生後9か月だった子どもは、この期間に10か月の子どもになった。10か月になった途端に5歩くらい歩いて、周囲の大人は「歩いた!」と感

          2020年3月後半の日記

          2020年3月前半の日記

           明るい気持ちでいたいな、ただ。そう思っているのに、なんだかざわざわという音が聞こえてくるような日々。テレビを見るととても疲れる。近所のドラッグストアでもトイレットペーパーなどの紙類が全滅していた。たぶん責任を取らない人が「闘い」とか「責任」とか繰り返して発言するのを見せられて、こういうのが戦争の始まりだと思った。  どんな日常も奪われていいはずがない。行きたかったライブが、思い切り水をかけられた火のようにどんどん消えていく。中止や延期は仕方ないことかもしれないけれど、それ

          2020年3月前半の日記

          2020年2月後半の日記

           赤ちゃんもだらだらするんだ、と思う。ひとりで子ども向け番組を観ていた乳児が、いつの間にか寝転んで授乳クッションにうまくもたれているのを見つけて、それどこで覚えたん?と訊いても答えは返ってこない。  元気になった8か月児は、この期間に9か月児に。離乳食はしばらく前から三回食にしているが、出せば出した分だけすべて食べる。食材を増やしたいのでベビーフードを積極的に導入。それにしても、お皿が空になると「ないないない!」と叫ぶのは偶然かもしれないが笑ってしまう。  色のはっきりし

          2020年2月後半の日記

          2020年2月前半の日記

           2月2日は、徳島県立文学書道館で11日まで開催されていた文学特別展「現代詩歌の冒険」のイベントのひとつ、ことのは歌会。紀野恵さんと一緒に講師をさせていただいた。短歌や歌会というものが初めてという方も多かった歌会、皆さま緊張気味の感じで始まったものの、徐々に盛り上がって、楽しい時間になったかなと思う。  あとから送っていただいた写真を見ると、わたしも紀野さんも、おすましすることなく口を開けて大笑いしていて、うれしかった。紀野さんが終わった後で「緊張した」と仰っていたけれど、

          2020年2月前半の日記

          2020年1月後半の日記

           暖冬だと思う。仕事を休んでいるのもあって、早朝や夕方に外に出ることが少なくなったせいもあるのかもしれないが、去年は毎日のように着ていたユニクロのウルトラライトダウンの出番がほとんどない。厚めのカーディガンでなんとかなっている。スーパーの生鮮食品売り場には耐えられないけれど。  1月後半は出かけることや友達が家に来てくれることが多かった。ふと思いついて、子どもを連れて空港に行ったり、子どもと、義理の妹とその子どもとミスタードーナツに行ったりした。朝起きたら神戸に行くことにな

          2020年1月後半の日記

          2020年1月前半の日記

           年明け。いつもどうやって迎えていいのか分からずにいたけれど(というか当直勤務していることが多かった)、今年は七か月の子どもと迎える。本当はもう寝ていてほしい時間だったけれど、普段とは違う環境だったせいか興奮して起きていた。クッションを振り回して叫びながらのカウントダウンを見せてくれる。  年末年始は香川にいたので、大晦日の昼は年越しうどん、年をまたぎながら年越しそば(海老の天ぷら入り)、一日の朝はあんもち入りのお雑煮とおせち料理を食べた。あんもちのお雑煮は教科書で見たとい

          2020年1月前半の日記