#8 ボローニャで朝食を
「9月のイチジクはマストロヤンニ」
甘いのです。ねっとり甘い。ヴィンチ村でも天然イチジクをもぎって食べましたが、どちらもとにかく甘い白イチジク。ねっとりした甘さの中にもイチジクらしい青味が残る。このバランスが絶妙で忘れられない味なのです。
イタリア人気質なイチジク、ドルチェ・ヴィータのマスチェロ・マストロヤンニという感じかな。
(写真: 2013 Agosto BOLOGNA ボローニャで朝食を Le mie colazioncineより)
9月に穫れるイチジクをセッテンブリーノ(Settembrino)というそうで、カレンダーの9月はセッテンブレ。これに「小さい」とか「かわいい」という意味の「-ino」がついた名称。樹になったまま熟成し、セミドライになって小さくなった状態の最上級イチジク。
セミドライになって甘さが増したイタリア人…。やっぱりマストロヤンニ?
熟したイチジクは皮まで甘くペロペロなので、ペットボトルの水でささっと表面を流してそのまま食べられます。種も食べられるのでゴミが出ない最高の朝食ですね。
あのイチジクの甘さに類似するものを挙げるなら日本の干し柿かな。最初は渋いけど、熟して甘さを増し、ドライになった頃に糖分が白く粉吹くというあたり、どうも侘び寂というイメージがあって、マルトロヤンニではない。渋さが甘さに変わり粉吹くという感じは菅原文太あたり。
(写真:ミラノでの個展オープニングパーティにて。旅する土鍋の手前にいるのはミラノの市場で買ったイチジク)
「イチジクに恋して」
いつも日本に帰って恋しくなるのが、あの9月のマストロヤンニ。どうしても我慢できず近所のスーパーで日本のイチジクを買うものの、どうも淡泊でねっとりさに欠ける中途半端な甘味なのです。そうそう、日本人気質なイチジク。どうもイタリア人気質なイチジクが恋しくなるのです。
さて、この最上級な朝食は、ジョギングの恩恵です。旅先でできるだけ多くの発見をするために、犬のように土地にマーキング的「足あと」を残したい場合、可能な限りゆっくりとジョギングをします。ウォーキングでもいいのですが…。
「旅先でのなんちゃってジョギングのすゝめと注意」
(写真:朝からおしゃれな格好で散歩するおばあちゃま)
長くなりました。この後の「なんちゃってジョギングのすゝめと注意」では個人的な考えを書き足しています。旅する土鍋とは関係ない記事ですが、続きは有料記事で会いましょう。
※走った恩恵は、今後の「旅する土鍋」の取材資金とさせていただきます。
※この記事はブックレット「旅する土鍋-それでも地球はまわる-」(2014年夏発行/協力CASE gallery/デザイン坂元夏樹・加川京)に掲載されたものに加筆・修正したものです。
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