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本のナカのホンモノ
我が家は「本の虫」と「音楽の獣」と「窯つむり」がいるので地下部屋に住んでいる。うそのような本当の話。本の話はどこからしていいのか分からなさすぎて避けてきた。今日もちょっと避けて、一冊だけクマがご紹介。
ちなみに下の写真は、我が家のリビングに「現在進行中」で読まれている本の数々を撮ってみた。数週間で読み物は変わる。上段左から時計まわりに、家人の島、青春の島、下段がわたしの島。これらは家族の目にさりげなく毎日ふれているので、読みたい人は次に「貸して」といって順繰りまわることもある。とても自然で便利な家庭内システム。
さて、この中から一冊ご紹介。
◎「イタリア 小さなまちの底力」 (講談社プラスアルファ文庫)
題名の通り、イタリアの町の住居環境などが書かれている本。この中で、先月もミラノで居候していた師匠の自宅が数ページ紹介されている。
⇑上のページは、師匠の自宅から工房までの道のり。
⇓じゃじゃーん、このページが師匠の自宅兼ギャラリースペースの紹介。
ズームしてみよう。
本のイラストとは反対から見ているが、奥が版画プレス機などがある部屋。わたしは写真まんなかに土鍋が転がっているその作品台座をパーテーションにして、むこうがわにマットレスを敷いて眠っていたというわけ。
なんと滑稽で贅沢な!
友人はみな驚いて「狭っ!」「若っ!」などと目を丸くしていたけれど、わたしには普通というより、贅沢中の贅沢に思えた。毎晩が、師匠の作品に囲まれたナイトミュージアムなのだから。ナイトミュージアムの様子は、気力があったら今度記事にしたいと思っているけれど。
きょうはこの辺でおしまい。
1ヶ月の居候生活で、すっかり弟子時代の私に戻った。
本のナカのホンモノには、動く風、動く光、動く時がある。めくれないページがあるのだ。
時間の数え方は永遠に同じでも、スキップなんかしないで丁寧に大きな声で数えたいと思うようになった。
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ヘッダー写真 :「サル」Cocciorino作 /「豆本」青空文庫(友人作)**