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旅する土鍋2018 –生産者のパッション−

2018 07/13 Marche マルケ州
写真: ウンベルトさんちの農園にて

「旅する土鍋」で郷土料理をつくってもらうときは、まず食材について話し合う。トマトやチーズや小麦、肉や魚など、イタリアどこでもあるものだが”同じもの”と侮るなかれ。その土地の気候、そしてパッションがその味をそれぞれに変えるのだ。

「パッション」なんて今どき簡単に使える言葉ではないけれど、ここにいるとたくさんのパッションがじわじわせめてくる。イタリア語のパッション=「パッシオーネ」にはふたつの意味があって、イエス・キリストの受難にあたる「苦痛・苦悩」であり、一方では「情熱」という意味を持つ。

ウンベルトに「どのくらいの種類のトマトをつくっているの?一番のオススメを見せて!」と頼んだ。口数の少ない彼は首を縦や横にふるわけでもなくどこかに消えてしまった。忘れた頃に「ちょっと来て」というのでついて行くと、見事に熟れたトマト畑に連れて行ってくれた。「食べろ」という。次々食べろという。ほおばってもおいつかないよ、と言おうと思った瞬間、彼の手を見て不意うちに胸が暑くなる。これがまさしく「パッシオーネ =情熱」の証であり、キリストの受難をも示すのかもしれない。


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